終わりなきガザ戦争 束の間の平和も危うく

廃墟から復活していた村は再び破壊された。女の子が持っているのは、パンを延ばす棒と台。=18日、アブドラッポ村 写真:筆者=

廃墟から復活していた村は再び破壊された。女の子が持っているのは、パンを延ばす棒と台。=18日、アブドラッポ村 写真:筆者=

 停戦延長の願いもむなしく戦闘は再開された。19日、ハマス(あるいはイスラム聖戦)がロケット弾を発射したとして、イスラエル軍が報復攻撃を開始したのである。

 ハマス軍事部門のモハンマド・ディーフ司令官の妻と子が狙われ、殺された。イスラエルが攻撃再開の本気度を示した格好だ。ハマスは妥協すらできなくなった。

 22日間続いたイスラエル軍による2008~2009年の大規模侵攻と今回の最も大きな違いは、犠牲者の数である。2008~2009年は1,116人、今回は2,016人が死亡した(20日現在)。ざっと2倍である。

 理由は今回、イスラエル軍が民家などを主な攻撃対象にしたことだ。2008~2009年は警察はじめ行政施設が中心だった。

 イスラエル軍がハマスを狙い続けていることに変わりはないのだが、ハマスの軍事用トンネルの出入り口が民家の下にあったりしたことが悲劇だった。

 ガザの再建はこれまで以上に厳しい。人々の生活を支えてきたエジプトとの間の「民生用トンネル(※1)」が、シーシ政権の登場によって潰されてしまったのである。

 ガザ東部のアブドラッポ村を訪ねた。2008~2009年の大侵攻の際、イスラエル軍は村で破壊の限りを尽くした。村はすっぽりと消えていた。トンネルを見つけるため、そして虐殺の後始末をするためにブルドーザーで整地したのである。

 村は今回も爆撃されたとはいえ、モスクや幾つかの民家は蘇っていた。コンクリートや鉄筋などの建設資材を、エジプトとの民生用トンネルを通じて調達したのである。

 シーシ政権が誕生した2014年以降、トンネルはほぼ完全に塞がれた。物資の搬入はイスラエルが管理するケレームシャローム検問所(※2)を通じてのみとなった。

隣村で獲れたジャガイモを手にする母親。野菜や果物は、いずれも品薄だ。=17日、フザー村 写真:筆者=

隣村で獲れたジャガイモを手にする母親。野菜や果物は、いずれも品薄だ。=17日、フザー村 写真:筆者=

 
 建設資材はハマスの軍事用トンネルに流用されることから、イスラエルは搬入を厳しく制限している。UNRWA(国連パレスチナ救済機関)などに限って認めている。

 この制限が解かれない限り、ガザの再建は難しい。ハマスが停戦条件に「封鎖解除」を挙げているのは、このためでもある。

  《大規模虐殺の村で日曜市》

 戦闘期間中、休止になっていた「フザー村の日曜市」が17日、再開された。村を東西に貫く基幹道路に100を超える露店が並ぶ。

 八百屋の露店ではトマト、ジャガイモなどが売られていたが品薄だ。爆撃で畑がやられているからだ。当然、戦前よりも値段が張る。人々の財布のヒモも固い。

 露店を出すアフマド・ネジャールさん(農業・39歳)は、「みんなお金を持ってないから売れないよ」と渋い顔だ。

 それでも「市」特有の賑わいが通りを包む。人々は買わなくても品物を手に取り楽しんだ。

 いま露店が並ぶ道は1か月前、イスラエル軍の爆撃を逃れる村人たちで洪水のようになった。逃れきれなかった村人は虐殺された。それが嘘のようだ。

 戦争と平和が短い周期で繰り返されるガザの現実が凝縮されていた。「終わりなき戦争」の下、人々は束の間の平和を味わうことも危うい状態だ。

  ◇

(※1)
民生用トンネル:
最盛期には大小約1,800本あった。
詳しくは…

http://tanakaryusaku.jp/2014/08/0009846

(※2)
ケレームシャローム検問所:
ガザ最南部にある物資専用の搬入口。ガザに入る物資をイスラエルが厳重に管理する。

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