アサド政権が倒れ、シリアの首都ダマスカスでは人々が喜びを爆発させている。恐怖に怯えずに毎日が暮らせる。親族友人がサイドナヤ刑務所に連行されることもない。
今から23年前、タリバン政権が崩壊した直後のアフガニスタンの首都カブールも、同じような雰囲気だった。長い長い冬が終わって春が来たようであった。
タリバン政権時、禁じられていた女性の高等教育が解禁となった。女子生徒たちに「将来何になりたいか?」と聴くと、最も多かった答えは「スチュワーデス(CA)」「学校の先生」だった。
理由は「CAになって海外に出たい」「女の子に勉強を教えたい」などである。
外出を制限されていた女性たちが海外に行くなんて夢のまた夢だった。勉強したくてもできなかった。
タリバン政権が倒れ、不可能が可能になったのである。生き生きとした彼女たちの顔が今でも忘れられない。生きてるってこんなに素晴らしいものだったのか・・・顔にそう書いていた。
あれから20年あまりが過ぎ、アフガニスタンは再びタリバンの統治下となった。冬に逆戻りしたことは、あらためて述べるまでもない。
話をシリアに戻そう。陰謀論のお好きな御仁たちが「アサドは良かった」とか「プーチンは敗れていない」とか世迷言を のたまって いる。そんなこと言ってる場合じゃない。
今、同じ生身の人間である私たちが全力をあげて取り組まなければならないのが、独裁政権の再登場を防ぐこと、戦争を再び起こさせないようにすることである。
~終わり~
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田中龍作は戦地で見てきた事実をもとに原稿を書いています。ネット情報を掬いあげて記事にする他メディアとも、外電を記事化するマスコミとも一線を画します。
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