
国境を越えるのに山肌を歩くシリア難民の家族。=19日、レバノン国境 撮影:田中龍作=
半世紀にわたって続いた独裁政権に終止符が打たれ、13年間もの内戦が終わった。祖国シリアを難民となって逃れた人々の帰還ラッシュがピークを迎えている。
難民たちは岩だらけの山肌を歩いて国境を渡っていた。レバノン国境の通行料が払えないのだ。
シリアに戻ったところで、祖国は10人に9人が1日1ドル以下で暮らす極貧国家である。
食べて行ける当てがなくても難民たちは故郷に向けて家路を急ぐ。

難民たちはどこから国境の鉄条網を潜ったのだろうか? 手引きする業者抜きでは考えにくい。=19日、レバノン国境 撮影:田中龍作=
アサド政権下では760万人の国民が国外に難民となって脱出した(UNHCR:国連難民高等弁務官事務所まとめ)。
難民が大量発生した2015年には、トルコ・イズミールの海岸にシリア出身の男の子(3歳)の水死体が打ち上げられた。
独裁政権は内戦を産み、内戦は大量難民を産む。民には抗うことのできない悲劇である。
~終わり~
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