17日未明、イスラエル軍がジェニン難民キャンプに空と陸から攻撃をかけ武装勢力の幹部を殺害したと聞き、田中は現場に駆け付けた。
殺されたのは「ジェニン大隊(イスラム聖戦)」のバハ・ラハルー司令官と戦闘員2人(イスラム聖戦とハマス)だ。
ウエストバンク最北端のジェニンは中心都市ラマッラから車で2時間半を要する。
田中が着いた時、モスクでは3人の葬儀が営まれていた。
地元住民によると、バハ司令官は空爆ではなく陸上部隊から射殺された。なるほど綺麗な遺体であった。空爆であっても対人用の精密誘導ミサイルであれば五体満足とはいかない。
9月には礼拝所に精密誘導ミサイルが投下され地下にいた戦闘員2人が死亡している。
内通情報あってのことだろうが、イスラエル軍にしてみれば「空からでも陸からでも狙って殺せるんだよ」ということだ。
田中は前々日にもジェニン難民キャンプを訪れているのだが、道路の変わり果てた姿に愕然とした。道という道は空爆でズタズタにされているのだ。
一方で陸上部隊はキャンプ内に侵攻し、武装勢力と銃撃戦を展開した。路上に散乱した薬莢とあちこちの家屋の壁に空いた弾痕が銃撃戦の激しさを物語る。
開戦前は難民キャンプ内で写真を撮ることもご法度だった。住民は警戒し口もきいてくれなかった。武装勢力の縛りが利いていたのだ。
開戦後、戦闘員どころか幹部まで殺害され、住民は重い口を開くようになった。
ガザと同じように武装勢力に綻びが生じ始めているのだろうか。
~終わり~
◇
田中はパレスチナの地に戻ってきました。
イスラエルはガザのみならず西岸のパレスチナ住民も根こそぎ追い出してしまいたい。民族浄化の思惑が透けて見えます。
人類史に刻まれるような大災厄が起きないことを願うのみですがが、不幸にして起きてしまった時は、ジャーナリストとして見届け伝えなければなりません。