野宿者はじめ生活困窮者の命をつないできた炊き出し—
都内の公園や教会を回れば、毎日どこかで炊き出しが行われていた。ステイホームは餓死を招くのである。
緊急事態宣言を受けて、炊き出しを“自粛”する支援団体が相次ぐ。その結果、木曜日が穴になった。
この事態を受け、毎週土曜日に渋谷区の美竹公園で炊き出しを続けてきたボランティア団体が、木曜日も炊き出しをすることになった。きょう4日は第1回目だった。
密を避けるため、炊き出しと言っても弁当箱に詰めた料理を、ボランティアが生活困窮者に渡す方式となった。
今夜のメニューは「白菜のミルククリーム煮」「ウィンナー」「ゆで卵」などだ。
コロナ禍で仕事を失い食費に事欠く人は、もはや数えきれない。
美竹公園にもジャケットとスラックス姿で炊き出しの列に並ぶ男性の姿があった。ショルダーバッグが日焼けしていない。
この男性の場合、スマホがまだ活きているのだろう。きょう、木曜炊き出しの第1回目があることは、前日あたりからツイッターで告知されていた。男性はそれを見て来たのである。
ベテランの野宿者たちは、イレギュラーな炊き出しであっても口コミで知る。
気の毒なのは路上に弾き出されて、まだ日の浅い人たちだ。口コミにもつながれない。電話料金を払っていないので、スマホはつながらずツイッターの告知を知ることもできない。
「餓死者が出ている」との説は、現実味を帯びてくる。
~終わり~
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