巨大再開発のため危機に瀕する神宮外苑。事業者が先月28日から神宮第2球場の伐採を始めたが、きょう12日は建国記念文庫の森にまで手をつけた。
建国記念文庫の森は外苑の中で最も緑が深く、貴重な品種の古木巨木が鬱蒼と生い茂る。神聖不可侵と言って差し支えない。
伐採が始まった先月28日から「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」のメンバーらが監視を続けているが、きょう午前、目の前で建国記念文庫の森の黒松が一本伐採された。
凶行は昼過ぎになって、田中の耳に入って来た。すぐ現場に直行した。
「ワーン」。業者のチェーンソーが唸りをあげていた。作業員が刃を幹にあてると、白い木粉が飛び散る。シラカシという珍しい品種の樹木だ。もちろん古木である。
愛する人が凌辱されているような痛みさえ覚えた。作業員に「ヤメロ、それはダメだ」と怒鳴りたかったが、ワンカットでも多く写真を撮らねばならない。ひたすら愛機のシャッターを切った。樹齢半世紀をゆうに超えるであろう古木の幹はものの数十秒で切断された。
建国記念文庫の森の伐採に関して、住民が新宿区に情報公開請求をしており、区役所はきょう12日午後4時に回答を取りに来るように、と住民に告げていた。
だが、新宿区は回答を渡す前に切ってしまったのである。不誠実という他ない。
差し迫った危機にあるのが、秩父宮ラグビー場前の18本のイチョウ並木だ。新神宮球場の建設が計画通り進めば、他の場所に移植される。
移植先は決まっていない。何より樹齢半世紀上の古木が移植に耐えうるのか?? 疑問だらけだ。18本のイチョウ並木は港区道上にあり、伐採の認可権限は港区長にある。
きょうは「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」の加藤なぎさ代表が港区役所に清家愛区長を尋ね、イチョウ並木を保全するよう要請した。
再開発の許可を出したのは小池都知事だ。清家区長が小池知事の圧力にどこまで抗しきれるか。18本のイチョウ並木の命運がかかる。
~終わり~