報道と原発 記者クラブの虎の尾踏んだ小西議員と鉢呂経産相

政府を追及する小西議員。官僚出身だけに役人の手のうちを知る。=衆院第16控室 撮影:田中龍作=

 小西ひろゆき議員が「サル発言」で参院憲法調査会の野党筆頭理事を更迭された件で、ジャーナリストのKEITARO(@keitarou1212)氏が、「既視感がある」とツイートしている。

 既視感とは—

 原発事故から間もない福島県を視察した鉢呂吉雄経産相が記者会見で「死の街のようだった」と表現したことが、問題発言として書き立てられ、辞任に追い込まれた。

 ところが、福島の知人に聞くと「鉢呂さんはよく言ってくれた。実際人が住めなくなっているのだから」。マスコミ報道とはウラハラに鉢呂氏のコメントを評価していた。2011年8月のことだ。

 鉢呂経産相の辞任記者会見に行くと、記者クラブは勝ち誇った雰囲気だった。田中は、ヤクザ言葉で鉢呂氏を攻め立てた時事通信の記者を、ドヤシつけた。

 当時のもようは音声と画像も残っているので御覧頂きたい

 電力会社から多額の広告料をもらい、慰安旅行にまで連れて行ってもらっているマスコミにとって、原発に慎重な鉢呂大臣は追い落とさねばならない存在だったのだ。

辞任会見する鉢呂経産相。無念なのだろうか。表情はうつろだった。=2011年9月、経産省記者会見室 撮影:田中龍作=

 小西議員は、安倍政権時に放送局に圧力をかけることを可能にする企てがあったことを示す総務省文書の存在を暴露した。

 官邸による報道機関への圧力を白日の下に晒したのだが、新聞テレビにとっては有難迷惑だった。

 新聞社は軽減税率の適用で政府に助けてもらい、テレビ局は超格安の電波使用料と新規参入の阻止で、政府の庇護下にある。

 政府にオンブにダッコされている新聞テレビが政府を批判できる訳がないのだ。

 圧力の中心にいた高市元総務相に対して及び腰だったマスコミは、サル発言を機に小西議員を攻め立てるようになった。今やメディアスクラム状態となっている。

 鉢呂経産相(当時)と小西議員は、記者クラブメディアの虎の尾を踏んだのである。

     ~終わり~

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