開戦から13日目、3月8日。青空が顔をのぞかせたと思ったら、先が見えなくなるほど雪が降りしきった。
きょうのキエフは先行き不透明なウクライナ情勢を反映するような天気となった。
キエフ市を見渡せる国会議事堂先の展望台に行こうとしたが、途中で軍に阻まれたことは、5日付の拙稿でリポートした。
きょう8日、田中は一縷の望みを託して別の高台を目指した。こちらも軍や自警団がパトロールしていた。肝を冷やしながら撮影ポイントを探した。
息を切らして小高い丘を登りきると、手前にドニエプル河、みはるかす向こうに郊外の住宅地が広がっていた。
タワマンはじめ高層ビルは、まったく無傷だ。中・低層の建物も同様である。キエフ中心部の郊外は、目で見る限り爆撃に遭っていないようだ。
ロシア軍の無差別爆撃に晒されているのは、20~30㎞先とみられる。郊外というより近郊である。
高台から見る限り、ドニエプル河に架かる橋はいずれも落とされていない。めっきり少なくなった車は、心持ち早いスピードで橋を渡りきっていた。
橋から大統領府などのある国家中枢までは車で5~6分の近さだ。
ロシア軍が迫ってくれば、ウクライナ軍は橋を落とすだろう。
この時、初めてキエフはロシア軍に包囲されたことになる。
戦争の第2幕が上がる。
~終わり~
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