
兵士(左)の右手は絶えずカラシニコフAK47の引き金にかかっていた。場所は大統領府に向かう坂道の入り口。=5日、キエフ市中心部 撮影:田中龍作=
開戦から10日目、3月5日-
ロシア軍はどこまで迫っているのか。キエフ郊外はどれくらい破壊されているのか。この目で確かめなくてはならない。
国会議事堂から100mくらい先にキエフ市が一望できる展望台がある。田中は展望台を目指した。
予想通り軍に阻まれた。国会の手前に中央銀行があるが、すでにそこから装甲車とコンクリート製のバリケードで固められていた。
歩哨は田中を見ると「首を横に振った」。住民も3人ほど通せんぼされていた。3人とも軽装だった。この地域に住んでいるのだろう。
ウクライナ軍はロシア軍をどこで食い止めているのか。つまり防衛線はどこか。
米国の軍事衛星からの情報ではなく、ジャーナリストの肉眼で確かめたかった。だがそれこそ最高の軍事機密である。
民間の被害を誇張することなく、さりとて過小評価することもなく。田中はありのままを伝えたい。

東京の銀座にあたるフレシャーチク通りの入り口には、(写真右から)「撒きビシ」「コンクリートブロック」「戦車止め」の3点セットが置かれていた。=5日、キエフ市中心部 撮影:田中龍作=
~終わり~
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皆様のお力で、田中龍作はウクライナから真実を伝えることができています。
カードをこすりまくっての取材です。