「トルコがアゼルバイジャン経由でシリア人傭兵をナゴルノカラバフの戦場に送りこんでいる」という噂があった。
最前線で戦っていたナゴルノカラバフのパルチザンが「我々と戦っていたのはシリア人傭兵(彼らの言葉ではシリアンテロリスト)だった」という証言をもたらした。
証言してくれたのは北部戦線に配置されていたティグラン氏(22歳)と中南部戦線のアルベルト氏(24歳)。
証言その1
アゼルバイジャン軍の軍服を着たシリア人傭兵は「アッラーアクバル」と叫んで突進してくる。アゼルバイジャン軍の兵士が「アッラーアクバル」と叫ぶことはない、という。
証言その2
死体の制服に残っていたパスポートは、アゼルバイジャン軍兵士の名義なのだが、パスポートの写真と死体の顔が違う。
パスポート発給の日付はここ1~2年以内。田中が見たのは2019年1月だった。(トルコはこの頃からアゼルバイジャンと結託して、シリア人傭兵を投入する準備を進めていたのだろうか)
証言その3
シリア人傭兵はよく訓練されていて急峻な山を駆け上って来た。
「アゼルバイジャン軍兵士が山に登って来ることはなかった。彼らは平地で育っているから」。
証言その4
アゼルバイジャン軍兵士が、激戦地で白兵戦を戦うことはなかった。白兵戦を戦うのはシリア人傭兵だった。
トルコもアゼルバイジャンも「シリア人傭兵の投入」を否定していたが、シリア人傭兵と対面したアルメニア・パルチザンの証言によって覆されたことになる。
カラバフで戦闘に投入されたシリア人傭兵は、T-SNA(Tはトルコ/SNAは自由シリア軍)と呼ばれ、2,000人がトルコ国内で訓練を受けていると言われる。
街や村でカラバフの人々がよく口にする。「我々が戦ったのは、シリアとイスラエルとトルコだった」と。
この戦争は、いったい誰の戦争だったのか。
~終わり~
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