【ナゴルノカラバフ報告】「戦争で負ける」ということ

ロシア軍の装甲車両。吹雪の中、砲手たちはいつでも撃てる態勢をとっていた。=10日、ラチン周辺 撮影:田中龍作=

 今回の戦争で敗戦国となったアルメニアは、ナゴルノカラバフ自治州の75%をアゼルバイジャンに奪われた。4分の3。絶望的である。

 州都ステパノケルトの手前10㎞の地点までアゼルバイジャンの支配が及ぶ。

 ナゴルノカラバフは15万人の人口があったが、10~12万人が戦禍を逃れるために脱出した。戦後、州政府が無料の帰還バスを出すなどしているが、3~4万人が戻っただけだ。(アルメニア政府、民間の難民援助団体の統計を総合)

 停電やインターネット回線のダウンは日常茶飯事である。

 民族の仇敵が目前に迫り、日常生活は不便この上ない。人々が帰還してくる環境ではないのだ。

ラチン周辺に配備されたロシア軍のロケットランチャー。この地域の平和維持が容易ではないことの証明だ。=撮影:田中龍作=

 アルメニア本土とナゴルノカラバフ自治州をつなぐ生命線ともいわれているラチン回廊は12月1日をもってアゼルバイジャンの手に落ちた。
 
 和平協定により、ひとまずアルメニア人の「自由通行権」は確保されたが、ロシア軍の駐留がなくなれば、自由通行は不可能になる。生命線は絶たれ、カラバフ住民は袋のネズミだ。

 ラチンを通過する時、機関砲を備えたロシア軍の装甲車2個小隊とすれ違った。ラチン周辺にはロケットランチャーも配備されていた。

 平和を維持するのは軍事力…という皮肉を見せつけられる。

 住む所を奪われれば平穏な暮らしも奪われる。敗戦国の運命とは言いたくない。

 「戦場を見なくて済む日本のようになりたい」。小学2年生の言葉が幾度も耳に響く。

      ~終わり~

       ◇
田中は戦禍のナゴルノカラバフを後にし、昨夕アルメニアの首都エレバンに出てきました。

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