イスラム国に拘束されているフリージャーナリスト後藤健二さんの実母・順子さん(78歳)が、きょう、日本外国特派員協会で記者会見した。
イスラム国が日本政府に突き付けた期限が迫るなか、母の順子さんは「健二の命を救って下さい」と訴えた。
「私はこの3日間、近辺に何が起きているのか分かりませんでした」。順子さんは降って湧いたような事件に戸惑っている心境を率直に語った。
後藤さんはシリアに行く前に順子さんに連絡しなかった、という。「反対されたくなかったから。母親に心配されたくなかったからでしょう」。順子さんは息子の気持ちを察した。
昨夜、嫁(後藤さんの妻)と電話で話した。2週間前に子どもが生まれたことを知らされた、という。
「健二は生まれて2週間にも満たない子供を置いて友人の救出に行ったんです。イスラムの方々、日本人は好意的に接しています」。
中東のアルジャジーラはじめ多くの海外メディアのカメラを前に、順子さんは切々と語った。
ロシアの記者が「日本政府から接触はあるか?」と聞くと、順子さんは「日本政府からは全くない」と答えた。
1977年、ダッカで起きた日航機ハイジャック事件で福田赳夫首相は「人命は地球より重い」と言って身代金を払った。国際社会からは非難されたが、乗員乗客の命は救われた。
外国人記者が上記の例をあげて「安倍首相にもこの言葉を思い出してもらいたいか?」と質問した。
「そう願っております」。順子さんはキッパリと答えた。
「日本は戦争をしないと憲法9条で誓った国です。70年間戦争をしていません。日本はイスラム諸国の敵ではなく友好関係を保ってきました」。
安倍首相はイスラム国を名指しして「テロとの戦い」などと不用意な発言をした。愚かな首相のおかげで身を危険にさらすジャーナリストの母親が懸命に軌道修正した。
「あと残された時間はわずかです。日本政府の皆さん、健二の命を救って下さい」。順子さんは涙ながらに訴えた。