空念仏と化している「子ども・被災者生活支援法」の遂行を求めて、ホットスポットと言われる柏市、流山市など千葉県9市(※)の放射線担当部署の職員が、きょう、復興庁を訪れ要望書を提出した。
子ども・被災者生活支援法(正式名称:東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律)は昨年6月、全会一致で国会議決され施行された。
だが、支援を受ける対象が具体的に示されておらず、福島県外にあって放射線量が高い地域に住む人々の苛立ちは募る。
政府が避難指示を出すほど高くないが、放射線量が一定基準以上の地域を「支援対象地域」という。子ども・被災者生活支援法では、被災者が対象地域に住み続けるにしても、避難するにしても適切に支援する(第2条2項)、とされている。
ところが肝心の「一定基準」を示す放射量の数値が決まっていないのである。これではホットスポットと呼ばれる放射線量の高い地域に住む住民はたまったものではない。
早川由紀夫教授(群馬大学)の放射能汚染地図によれば、千葉県流山市や柏市などの線量は0・5~1μSv/h を示す。0・6μSv/h以上は「放射線管理区域」だから、相当に汚染されていることになる。子を持つ親や妊産婦は気が気でない。
経済的な事情などから「子ども・被災者生活支援法」の遂行を待ち望む住民は少なくない。柏市、流山市などの千葉県9市の放射能対策担当職員は住民に突き上げられた格好で復興庁を訪れたのである。
9市の職員は根本匠・復興大臣あてに「支援対象地域に指定すること」「住民が将来に渡って安心して暮らせるように支援する施策を実行すること」「被災者の生活支援に係る費用は全額国が負担すること」の3項目からなる要望書を提出した。
対応した復興庁の水野靖久参事官は「要望として受け取りました」と答えたそうだ。
◇
(※)柏市、松戸市、流山市、我孫子市、野田市、鎌ヶ谷市、印西市、白井市、佐倉市。