「本品の大豆は遺伝子組み換え食品ではありません」。豆腐など大豆製品を買うと必ずと言ってよいほどパッケージに表示されている。日本人は遺伝子組み換えに敏感だからだ。遺伝子組み換え食品には「発ガン性」を危ぶむ声さえある。
野田政権とマスコミが前のめりになるTPPに日本が加盟した場合、「遺伝子組み換え」の表示は非関税障壁として米国に訴えられる可能性が高い。訴えはISD条項にもとづき国際投資紛争仲介センターに持ち込まれる。
同センターは米国が実質支配する世界銀行傘下にあるため、米企業が敗訴したケースは全くない。言い方を変えれば米企業に訴えられたら負けるのだ。
モンサントのどこが危ないのか――
遺伝子組み換えされた作物の種は一代限りで、次世代には種を残さない。農家は自家採種できなくなる。そのうえモンサントは世界最強の除草剤とこの除草剤に強い種子をセット販売する。モンサントは、こうして世界の農地と作物を支配しようとしているのだ。
「世界同時Occupyモンサント・デイ」となった16日、首都圏に住む市民3人が「日本モンサント社」(銀座4丁目)で抗議活動を展開した。どくろマークにモンサントと書いたプラカードなどを持ち、道行く人に危険性を訴えた。
「遺伝子組み換え(GMO)は前から心配していた。GMOは危ないし、一企業が世界をコントロールしようとしていることも問題。モンサントのことを日本の人にもっと知ってもらいたいと思い、ここに立った」。千葉県在住の女性(20代)は決意を表した。
埼玉県の男性(40代)は怒りさえ口にする。「モンサントはベトナム戦争で枯葉剤を撒くようなひどいことをした。そんな会社が今度は遺伝子組み換えだ。市民団体が『危険だ』と指摘しているのに、農水省は『安全』と言い張る」。
市民が危険性を訴えても、政府が「安全だ」とひたすら言い募る。何やら原発と似ている。こちらも米国が日本に押し付けたものだ。遺伝子組み換えにより、食の安全性さえも今、米国に脅かされようとしている。
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