2013年は再稼働こそなかったものの安倍政権の原発回帰が進んだ。トルコへの原発輸出を決め、前政権の「原発ゼロ」を見直し原発を「ベース電源」とした。
今年もあと10日足らずとなったきょう、脱原発を願う市民たちが国会を包囲した。「日本人は熱しやすく冷めやすい」と言われるが、こと原発に関してはそうではないようだ。
多くの人が憂うのは、子子孫孫まで続く放射能被害だ。安倍政権が日本を戦争ができる国にしようとしていることも、人々を不安にさせる。
小田原市から妻と共に参加した男性(植木職人・70代)は「未来の子供たちの悲鳴が聞こえる」と深刻な表情で言う。
男性は続けた。「原発は次の世代に残してはいけない。未来の子供たちは本当に幸せになれるのだろうか? 彼らは銃を取らされるのではないか? 次の世代はそこまで追い込まれていることを分かってほしい」。
妻の父親が福島県会津地方の出身という男性(40代・東村山市在住)も、安倍政権の原発回帰に憤る―
「怒り心頭だ。信じられない。自民党が与党になってから“ 再稼働準備 ”とか“ 秘密保護法 ”が彼らのシナリオ通りに進んでいる。きょうは“ シナリオ通りにはさせないぞ ”という思いでここに来た」。
「原発事故前に声をあげてこなかったことへの反省を込めて、長く声をあげてゆきたい」。男性は責任を感じているような面持ちで語った。
ワンイシューではないことに人々は気づき始めた
官邸前や国会議事堂前の反原発集会はずっとワンイシューだった。だが最近は安倍内閣の政策や安倍首相そのものへの反発が目立つようになった。「秘密保護法反対」のプラカードや「安倍首相とヒトラーの合成写真」は数えきれない。
「原発問題」がすぐれて政治イシューであることが、安倍政権の登場で改めて明らかになった。「特定秘密」も「原発再稼働」も根は同じなのである。
「原発いらない。政治を変えよう」…陽が落ちてシルエットだけが浮かびあがる国会議事堂に向かってシュプレヒコールが響いた。
《文・田中龍作 / 諏訪都》