「若い世代の思いが原子力政策に反映されていない」として、4人の若者が経産省前で11日から10日間のハンガーストライキに挑んでいた。21日夕、全員無事ハンストを終えた。
4人とも真っ黒に日焼けしている。10日間で、摂ったのは水と食塩だけ。リーダー格の岡本直也さん(20才)は、体重が8キロ減った。岡本さんは原子力発電に疑問を持ち、おととし10月、上関町祝島に移り住んだ。中国電力が原発建設を強行しようとしている地に飛び込んだのである。
「これから生まれてくる命に放射能だけが残される。私たちは生きたい。経産省が原発政策に最も深く関わっている本丸だから」―岡本さんはハンストに突入する直前、経産省前に座り込む理由をこのように語っていた。
ハンスト完結直前の21日朝、経産省前でインタビューした。顔色も良い。
「初日から多くの人たちが4人を励ましに来てくれた。訪れた市民がハンストの模様をインターネットで発信してくれた。それが一番嬉しかった」。岡本さんは顔をほころばせた。
ハンストが終了すると4人は経産省に「原発の新規立地計画」「再稼働」「原発輸出」などに反対する請願書を提出した。
「原発はおカネが降ってくるけど、町づくりのための産業は起きない。交付金だけに頼って(町民間の)対話がなかった」。上関の大人たちは、弱冠20歳の青年の言葉をどう受け止めるのだろうか。
2011年9月21日提出
請願書
福島第一原子力発電所の事故で多くの方が故郷を追われ、また、暮らしそのものを奪われました。この原発事故が収東するまで、放射能が大気中と大地と海に垂れ流しにされます。
一度事故が起きてしまったら取り返しがつかなく、誰も責任が取れないことが明確になりました。それだけではなく、原発は事故が起きなくても大量の温廃水などで自然環境を破壊し、何万年も管理しなくてはいけない大量の核のゴミを生みだします。
私たち若い世代には、すでに日本の54基の原発が生んでしまった、半永久に消えることない核のゴミと福島原発から漏れ続けている放射能を残されてしまいました。
しかし震災後も、新規立地計画されている上関原発建設予定地では、休みなく原発建設のための環境調査工事を進めています。泊原発も国民になんの説明もなく営業運転を始めてしまいました。
私たち若い世代は、原発の負の遺産をこれ以上背負いたくありません。そして最も放射能の影響を受ける子どもたち、その子たちに繋がっていく命に、これ以上の負の遺産を残したくありません。
私たちは命の糧となる自然や、命そのものを大切にすることを政策に反映してもらうように請願し、ハンガーストライキを10日間行いました。これは、これからこの地球で生きていく私たちの願いです。