生活苦にある全国2千万非正規労働者に司法の光は射さなかった。
同じ作業を同じ時間こなしているのにもかかわらず、正規社員との間で年収300万円もの差があり、退職金もない・・・
有期雇用と無期雇用との間に不合理な待遇格差を設けてはならないとする労働契約法20条(現在はパート労働法に吸収)に違反するとして、東京メトロの売店で働く非正規社員4人が会社を相手どって損害賠償を請求していた訴訟の最高裁判決が、きょう13日、あった。
「基本給の差額返還」と「未払いボーナスの全額支給」は、最高裁が7月の段階で上告を棄却したため、争われていたのは「正社員と同じ基準による退職金の支給」となっていた。
東京高裁判決は「会社は原告に正社員の4分の1の退職金を払うべき」としていたが、きょう、最高裁は高裁判決を破棄した。
「原告たちには退職金をビタ1円支給する必要はない」とする判決である。
原告たちは正規社員と同じ仕事をしながら、時給1,000~1,100円という安い賃金で働かされてきた。ボーナスもわずかしか支給されなかった。
手取りは月12万円前後。家賃、光熱費、公共料金などを払ったら、手元にはほとんど残らない。貯金はゼロ円に等しい。
これで退職金も出ない。老後は「野垂れ死にしろ」ということだ。
東京高裁がかろうじて認めた退職金4分の1の支給さえ、最高裁は「必要なし」としたのである。
最高裁は全国に2,000万人いる非正規労働者の老後を一顧だにしない判決を下したのである。
しかも有期雇用(非正規)と無期雇用(正規)との間に待遇の格差を設けてはならないとする「パート労働法」も死文化させた。
判決後、原告の一人は「こんな判決はひどい。死ぬまで働けっていうのか。(最高裁は)もっと社会を知れと言いたい。今の社会を。何も分かっていない」と涙ながらに語った。鬼のような形相だった。
~終わり~