きょう15日、労働貴族に尻を叩かれて合流した新党が都内の豪華ホテルで結成大会を麗々しく開いた。その陰で-
「同一労働・同一賃金」の実現を求める元非正規労働者たちの訴訟が最高裁で大詰めを迎えていた。
訴えているのは東京メトロの売店で働いていた元非正規労働者の4人だ。
契約社員Bと呼ばれていた原告たちは、正規社員と同じ仕事をしながら時給1,000~1,100円という安い賃金で働く。年収は正規社員と比べると300万円も少ない。ボーナスも退職金も支給されない。
手取りの月収は12万円前後。家賃、光熱費、公共料金などを払ったら、手元にはほとんど残らない。繰り返すが退職金はゼロ円だ。
「これでどうやって生きてゆけというのか?」。
原告たちは「同一労働・同一賃金」の原則を定めた労働契約法20条に違反するとして、雇い主のメトロコマースを相手どり東京地裁に提訴した。2014年5月のことだ。
具体的な内容は「基本給の差額返還」「未払いボーナスの全額支給」「正社員と同じ基準による退職金の支給」などである。
高裁では「住宅手当」「残業手当」「褒賞」の請求が認められたが、肝心要の「基本給の差額返還」請求は認められなかった。「不合理ではない」との判断だった。
一方で退職金は原告の求める額(正社員と同じ基準による額)の4分の1について認めた。
最高裁で争われているのは、この退職金だ。原告は全額の支払いを求める。会社側はビタ一文払う必要はないとする。
最高裁が高裁判決を破棄し、会社側の訴えを認めれば、退職金はゼロ円となる。
今や全労働者の4割が非正規労働者だ。その数は2,000万人を超える。ほとんどが今回の裁判の原告たちと同じ境遇だ。あすは我が身である。
固唾を飲む最高裁判決は、10月13日に言い渡される。
原告の一人、後呂良子さん(65歳)は「差別は死ぬまで続く」と唇を噛みしめた。
~終わり~
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