東京都お役所仕事 救えるはずのネカフェ難民救えず

男性は1月からネカフェ暮らしを続けていた。「すごい騒いでいるけど危機感がない」と行政を批判した。=11日朝、歌舞伎町 撮影:田中龍作=

 緊急事態宣言に伴う東京都の休業要請がきょう11日、午前零時をもって発動された。

 インターネットカフェにも適用されることから約4千人のネカフェ難民が締め出されるのではないか、と世間は気を揉んだ。珍しくマスコミが注目した。

 小池知事は行き場を失うネカフェ難民のためにホテルを借り上げ、空室の都営住宅を充てるなどして救済する、としていた。総事業費は12億円。

 だが用意された部屋は400室とも500室とも伝えられた。しかも救済を受けるには都内在住6ヵ月以上という条件が付された。

 生活保護申請に行くと、役所はあの手この手で撃退する。水際作戦である。それが今回も発動された。

 ボランティア団体や市民団体による抗議の結果、部屋数は増え、都内在住6ヵ月未満のネカフェ難民でも救済申請ができるようになった…と言われる。

ビルの中で呼び込みをかける相談窓口のスタッフ。周知の意味をなさない。典型的なお役所仕事だ。せめて歌舞伎町の街頭に立つべきだった。=11日、新宿 撮影:小杉碧海=

 11日朝、新宿歌舞伎町のネカフェから締め出された男性(40代・写真)に話を聞いた。彼は都の救済策を知ってはいた。

 「申請しようにもきょうは土日だから役所はやってない。しかも400室。どうせ空いてないでしょ。今晩は東京駅で寝ます」。今夜から寝場所を失う男性は、投げやりになっていた。
 
 ところが、500mと離れていない場所で東京都は、行き場を失ったネカフェ難民などを対象にした相談窓口を開いていたのである。

 「400~500室」「都内に6ヵ月以上」という、当初の厳しい条件だけが、知れ渡った。そしてネカフェ難民の頭に刷り込まれた。

 部屋数が増え、6ヵ月の条件もなくなった・・・改善された後の救済策は周知されなかった。救えるはずのネカフェ難民を救えなかったのだ。

 チグハグなお役所仕事がもたらした悲劇である。

  ~終わり~
  
   ◇
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