「ここ1~2ヵ月で(仲間が)増えてるね。ネットカフェが閉まったらドカーンと増えるよ」。
こう話すのは新宿西口で野宿する男性(50代)だ。ホームレス(野宿者)が増えたのは、消費税増税と新型コロナの影響だ。
野宿者の多くはネットカフェ生活を経験しているため、傾向がつかめる。
きょう10日、東京都が休業要請する業種を発表するが、その一つにネットカフェが含まれている。
9日夜、ネカフェ休業前夜の新宿を訪ねた。翌日から店を閉じるなどという雰囲気は みじんも感じられない。
ネオンは煌々と光り、一夜の宿を求める若者らが次々と入店して行った。
東京都の推計では都内のネットカフェ人口は約4千人。休業要請通りに行けば、4千人が路上に弾き出される。住まいを失った人々にとって最後の砦がネカフェなのだ。
リーマンショックで住まいと職を同時に失った非正規労働者が命からがら辿り着いた日比谷の派遣村(2008年末)を思い出す。
彼らはテントで夜露をしのいでいたのだが、寒さで体調を崩す人も現れた。そこで主催者たちが手立てを講じた。
日比谷公園正面に聳え立つ厚労省の講堂を開けさせたのである。暖房も入った。
非正規労働者たちは凍死を免れたのだった。
公的施設を活用すれば、ネカフェ難民を救うことは可能である。
~終わり~
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