ここまで労働者を酷使するのか。毎回、衝撃の事実が飛び出すワタミ過労死裁判。きょうは第7回目の口頭弁論が開かれた。
東京地裁631号法廷。原告代理人の原島有史弁護士が以下3点を陳述した。
1)2008年6月、過労自殺した森美菜さん(享年26歳)が勤務していた和民久里浜店の店長が、横須賀労働基準監督署の聴取に対して供述した内容を、原島弁護士は明らかにした。
供述によると店長は週1回行っている社員へのカウンセリングで、美菜さんが疲れて心が沈んでいるのをはっきりわかっていた。
久里浜店長の報告を通して被告である親会社のワタミは当然、美菜さんの状態を認識していたはずだが、美菜さんの負担を軽くするような措置を取ることは一切なかった。
2)社宅と店の間は電車を利用しなければ行き来できない。仕事が終わるのが終電後になると始発電車まで店で過ごさなければならなかった。
社宅の場所を選択する余地が美菜さんにはなかった。実質的に被告らが入居を強制したようなものだ。
3)休憩時間は平均30分程度しか取れなかった。(所定の休憩時間は1時間)
法廷での弁論の後、弁護士会館で「裁判報告会」が開かれた。ここでも過酷な労働条件が明らかになった。原告団によると―
固定給は19万円。内訳は基本給が16万円、深夜勤務手当が3万円。これらは入社式で配布された人事労務テキストに書かれている。同テキストはワタミ人材開発部の製作だった。
深夜労働が月に129時間も組み込まれているのにもかかわらず、手当ては3万円というのである。
被告のワタミ株式会社は、美菜さんが勤務するワタミフードサービスから労務管理を委託されていたことを準備書面で認めている。
横須賀労働基準監督署が美菜さんの出退勤状況を問い合わせた際にも、回答するのはワタミフードサービスではなく、ワタミの人事部だった。
各店舗(ワタミフードサービス)の労務管理を親会社のワタミが担っていたことが改めて明らかになった。親会社のワタミに責任が及ぶことがはっきりした。
原告団弁護士は「会社ぐるみで過剰労働を推進していた」と指弾した。
ワタミ過労死裁判は最大の山場である証人尋問に近づいて来た。参議院議員の渡辺美樹元会長が出廷するのか、に注目が集まる。