トランプ次期大統領が「ディープステートをぶっ潰す」とぶち上げる。
それを受けて日本のナイーブな政治家やブンカジンは「トランプ大統領は戦争をしない。戦争を終結させる」と無邪気に喜ぶ。
ディープステートの構成員であるユダ金がこう動き、強欲政治家がああ動き、軍産複合体が出番となる・・・ナイーブな御仁たちはこうした図式を描く。
ところが戦争のメカニズムはこんな図式的なものではない。戦争になればディープステートが潤うことは事実だが、ディープステートが関与しようがしまいが、戦争は起きる。
イスラエルの最北端ゴラン高原(海抜2800m / 標高約1千m)―
シリアとレバノンに国境を接する戦略要衝だ。第3次中東戦争でシリアから分捕った地である。
シリアやレバノンを見下ろす高い位置にあり、ミサイルやロケット弾による攻撃を一早く察知する。イスラエルの国防に欠かせないのが、このゴラン高原である。
他国(シリア)から武力で奪い取ったのだから、国際法違反である。国連は安保理決議242でイスラエルに撤退を求めている。
だがイスラエルは国際法違反であろうが国連から要求されようがゴラン高原を手離さない。ユダヤ民族の死活に関わるからだ。
領土を奪われたままのシリアは当然猛反発する。自らの影響下にあるレバノンのヒズボラと一体となってイスラエルに反撃しているのだ。
ゴラン高原にヒズボラのロケット弾が撃ち込まれることは珍しいことでも何でもない。
イスラエル政府はゴラン高原に防人のようにして約5万人を住まわせているが、比較的新しい住宅にシェルターが標準装備だ。自宅にシェルターがない家庭は地域のシェルターを利用する。
ハマスと連動する形でヒズボラがイスラエルに猛攻を浴びせると、イスラエルはゴラン高原から住民を避難させた。
その避難民を帰還させるという大義名分で、今回、イスラエルはレバノンのヒズボラに全面戦争を仕掛けたのである。
イスラエルとレバノンをして砲火を交えさせているのは、民族間の憎しみと土地と国防である。
武器弾薬を供給する軍需産業(ディープステートの構成員)は、確かに戦争があった方が儲かる。
だがディープステートがあろうが、あるまいが戦争は起きる。
~終わり~
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