労働者と労働者が殺し合うのが戦争である。兵隊は労働者であるからだ。労働者たちを搾取して、肥え太る資本家のために戦って死ぬのだから、これ以上の不条理はない。
きょう5月1日はメーデー。労働者たちが自民党本部に向かって「戦争反対」のデモを掛けた(主催:労組反戦行動実行委)。岸田首相を招いて労働者の祭典を開く連合とは一線を画す労働組合である。
参院会館前に集合して自民党本部前に行こうとするとデモ隊の前に数十人の制服警察官が立ちはだかった。歩道上にカラーコーンとバーを置いて通せんぼする念の入れようだ。
すぐ近くに停まったカマボコ(機動隊輸送車)6台が威圧する。警備はいくらでも増強できるんだよ、と。
やむなくデモ隊は自民党本部から50m余り手前からアピールを始めた。
連帯参加した社民党党首の福島みずほがマイクを握った。福島の父親は特攻隊の生き残りだった。
「若者が戦争に駆り立てられ、政治家は、大臣は、大資本家は亡くなったりしません」
「政府が戦争を始めて一般の人々が死ぬ。そんな戦争はどんな立場からも反対です」。福島の姿勢は何十年経ってもブレない。
ジャーナリストの東海林智(新聞労連・個人参加)は「私たちはどんな戦争でも2度とペンを執らない。2度とカメラを持たない。2度と輪転機を回さない」。
先の戦争は販売部数を増やすために新聞が戦争を煽った。今、メディアは似たような状況にある。東海林のスピーチは背筋を寒くさせた。
小笠原邦人(全国一般・全労働者組合、副執行委員長)の血を吐くような訴えは、万国の労働者の叫びを代弁していた。
「軍事費に使う金はドブに捨てるようなもの。私たちにカネを回して下さい。食うカネを下さい。服を買うカネを下さい。住むカネを下さい」。
(文中敬称略)
~終わり~