百年前の植樹だが原生林さえ思わせる古木巨木が密生する神宮外苑。都会のオアシスともいえる貴重な緑地を、再開発業者と行政が破壊し始めた。
すでに東京都が事業許可を出し、新宿区が樹木の伐採を許可しているのである。
真っ先に犠牲となりそうなのが、建国記念文庫の森と神宮第2球場周辺の緑である。早々と建設業者の鉄の囲いで覆われてしまった。
囲いの中で何が行われているのか、うかがい知ることもできない。樹木が伐採されていても市民は手出しできない。
伐採されるのは樹齢100年を超すクヌギや桜など3千本以上(建設業者からの伐採申請)。
田中は鬱蒼とした建国記念文庫の森を散策したことがあるが、古木巨木が醸し出す雰囲気は神秘的でさえあった。
「神宮外苑の緑を守れ」。きょう1日、市民260人が建国記念文庫の森をヒューマンチェーン(人間の鎖)で包囲した。
開発を止めるには世論に訴えるか体を張るしかないのである。
緑地を破壊して高層ビルが3棟も建ち景観をだいなしにする。建て替える必要のない秩父宮ラグビー場と神宮第2球場の建設は、国立競技場の壮大な愚挙を思い起させる。
文化レベルの高い都市ほど緑が多い。豊かさはカネと物質だけでないことを肌で感じさせてくれる。
~終わり~