【ウクライナ発】紙の地図と戦場取材

紙の地図を見ながら両軍の動きを押さえていく。田中の投宿先にて。

 遠藤盛章さん(2011年没)というジャーナリストがいた。サダム・フセインの治安部隊に拘束されたにもかかわらず挫けなかった猛者だった。

 2005年頃、遠藤さんと一緒にインドネシア中央政府とアチェ自治州の内戦を取材した。

 日本のODAで作られた天然ガス精製工場には、独立武装勢力を拷問する施設があった。武装勢力が出撃拠点としていたジャングルを目指す取材だった。

 遠藤さんは「ここの露店でジュースを買った」「田中龍作が立ちションした」「この川は渡し船で渡った」などと地図に一つ一つ書き込んでいく。もちろん紙の地図である。

 田中はインドネシアの大地が自身に刻印されていくのを感じた。

包囲されて補給を絶たれたロシア軍は脱出を図ったが、そこをウクライナ軍に狙い撃ちされた。紙の地図と突き合わせると全体像がつかめて理解が深くなる。=5日、リマン 撮影:田中龍作=

 ネットの地図と紙の地図は同じ地図でも全く別の代物である。紙の地図は距離や方角を全体像の中でつかめるのだ。

 ネットのようにつまんでスライドさせたり、縮小・拡大させたりだと全体像が実感できない。

 広大なウクライナでも紙の地図を愛用している。机の上に広げながら兵隊出身者のレクチャーを受ける。

 なぜリマンがウクライナ軍に奪還されると、プーチン大統領の傀儡カディロフが低出力核の使用を進言するに至ったのか。

 両軍の動きを地図に書き込みながら追跡していくと納得がいく。

 怪しげなサイトを鵜呑みにし「ブチャの虐殺はなかった」などとするフェイクニュースを流したりしなくて済む。

  やはり紙の地図がいい。ネットにはないリアリティーがある。

 ~終わり~

  ◇
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