
アパートの地下。シェルターの扉は二重になっていた。管理者は「核攻撃に遭ってもいいように」と説明した。まるで銀行の金庫のようだった。=2月3日、キエフ市 撮影:田中龍作=
プーチン大統領は27日、「核抑止力部隊に特別戦闘態勢に入るよう」命じた―
まどろっこしい言い方だが、「いつでも核を落とせるからな」ということだ。核の脅しである。
ウクライナはソ連時代、西側(NATO諸国)に向けた核ミサイルの前線基地だった。当然、西側からの核ミサイルに狙われる立場にあった。
キエフは世界で最もシェルターの発達した都市となった。
キエフ市内では4,500ヵ所もシェルターが存在する。アパートの地下、スーパーの地下、公的施設の地下・・・市内のあらゆる所にシェルターがある。

地底に吸い込まれそうだった。しかもこれで終わりではない。もう一回エスカレーターに乗らなければ駅のホームには辿り着けない。=1月、キエフ地下鉄アルセナーリナ駅 撮影:田中龍作=
地下鉄の駅がシェルターとして設計されていることは、拙ジャーナルでもリポートした。ソ連時代に作られたシェルターが、今、ロシアによる攻撃に備えて利用されているのだ。あまりに皮肉である。
地下鉄の駅は深い所で105メートルもある(写真)。ソ連が核戦争を本気で考えていた証左でもある。30余年を経てプーチンがそれを蘇らせた。
~終わり~
◇
《読者の皆様》
ウクライナの若者たちは世界最強の軍隊にモロトフカクテル(火炎ビン)で立ち向かおうとしています。
田中龍作はこの戦争を最後まで伝え抜くつもりです。カードをこすりまくって現地取材を続けております。
日本の口座への御寄付は、ウクライナでのカード支払いの原資となります。
ご支援何とぞ御願い申し上げます。↓