密室で決まった会長はその座を去る時も、秘密のベールに包まれていた。
森喜朗会長の女性蔑視発言が国内外の厳しい批判を浴びたことを受けて、オリパラ組織委員会は、きょう午後、都内で臨時会合を開いた。
代表取材だったのか。臨時会合の冒頭にあった森会長の辞任の弁はテレビ中継されたが、約100人の記者がロビーで待たされた。
森会長の辞任の挨拶を田中はスマホで視聴した。森会長の話は、ご自分が批判した女性のそれより長かった。
3時から始まった臨時会合は2時間半あまりに及んだ。
森会長が入室する姿を撮影しようとしたが、組織委員会のスタッフたちがカメラの前に立ちはだかった。退室する際も同様だった。
田中は駐車場まで追いかけて行ったが、ここにも組織委員会のスタッフがいて撮影を阻んだ。安倍首相(当時)でさえ、頑張れば撮影できた。
ところが森会長は蜃気楼(シンキロウ)だけあって、最後までその姿をつかめなかった。
Jリーグ初代チェアマンの川淵三郎氏が、昨日の陽のある時点では、後任に内定していたが、氏はきょうになって辞退を表明した。
関係者へのぶら下がり取材などによると、昨日、武藤敏郎事務総長から川淵氏のところに3回ほど電話がかかってきた。
武藤事務総長は露骨に「降りろ」とは言わなかったが、官邸の意向として暗に「受けない方がいい」と仄めかしたそうだ。事務総長は大蔵官僚出身だけあって官邸の雰囲気をよくつかんでいたのだろう。
ある種の説得を受ける形で川淵氏が辞退を決めたのは昨夜だった、とのことだ。
理事会を開くこともなく自分の後任を指名するところが、いかにも森氏らしい。
マスコミ報道によると「社会的に問題を起こした人物が後任を指名できるのか?とスポンサー企業が首を傾げた」というが、まさにその通りだ。
オリパラ誘致したのも森氏なら、潰すのも森氏ということか。
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