政府が国民一人ひとりの動向や思想をもれなく監視できるようにする法案が、今国会に提出される。
デジタル改革関連法案だ。さる15日、自民党デジタル社会推進本部に同法案の全体像が示された。
法案提出を前に弁護士らが、きょう18日、国会内で法案の危険性を市民に説明した。弁護士は「クラクラするような法案だ」と恐れる。
法案が提出されれば可決成立する可能性は極めて高い。超監視社会が現実のものとなるのだ。
一例を挙げよう。監視カメラに写っていた怪しげなオッサンが、顔認証システムで田中龍作と判明した。
これまでだと警察は、「田中龍作ってのは左寄りのフリージャーナリスト」というレベルのことしか知らない。
ところがデジタル改革関連法施行後は、瞬時にして田中龍作の個人情報を得ることができるようになるのだ。
住民税や国民健康保険の分割払い、買い物の履歴、学歴、職歴、病院の診療歴・・・がパソコンのキーボードを叩くだけで閲覧できる。
警察が仮に田中龍作を何かの事件で逮捕したいとする。事件そのものの捜査もさることながら、警察は同時に田中という人間の輪郭も洗う。輪郭を押さえるのに手間要らずとなる。
人々のプライバシーを守るために個人情報保護条例があった。同条例は全国の自治体が住民に配慮しながら練り上げたものだが、デジタル関連法が施行されれば無力となる。
デジタル関連法案の一つに「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案(仮称)」というのがある。
地方自治体の情報システムを一律にする。つまり国のシステムに統一するのである。
デジタル改革で、もっとも先に狙われるのが「医療」と「教育」といわれる。
病名、投薬した薬品などのビッグデータは、米国の保険会社が目論む自由診療にこの上なく役立つ。
菅首相が「国民皆保険の見直し」に触れたが、デジタル改革で自由診療を進めるためと見てよい。
教育でタブレットを使わせ、そこから個人の思想傾向をつかめば、思想統制が容易になる。
今秋にも新設が予定されているデジタル庁は、官邸ポリスと同じ内閣府の建物に入る。
菅政権にデジタル改革を任せてしまったら、性能が素晴らしく優れた弾圧の道具を与えることになる。
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