杉並区の地域医療を担う河北総合病院が、きのう16日付で、「非常事態宣言」を出した―
「新型コロナウイルスの感染が急拡大し、極めて身近になってきました。院内での感染も多く認められるようになりました。感染経路が追えなくなってきています。救急外来も止めざるを得ません」。
病院の悲鳴は全国あちこちから届く。救急外来が止まれば救急患者は行先を失う。地域住民の悲鳴でもある。
知人の医師(都内・50代男性)は勤務先の病院の事務長から「(病院を)閉じるかもしれない」と通告された。いま再就職先の確保に懸命だ。
病院の大半は赤字経営である。コロナ感染者を受け入れている青森県のある一般病院は毎月、数千万円の赤字という。累積赤字は数億となる。
コロナ感染者の治療にはスタッフと労力を割かれる。一般診療と比べて多大なコストがかかるのだ。
政府はあす(18日)から始まる国会で、コロナ感染者の受け入れを病院に「勧告」できるよう法改正(感染症法)する方針だ。
上述した青森県の一般病院に勤務する女性医師は、政府の姿勢に憤りを隠さない。
「すでにヘトへト。犠牲と良心で持ちこたえている。それが強制になったらやっていけない」と。
『病気は社会が引き起こす』の著者、木村知医師は田中の取材に次のように指摘した。
「コロナに特化した病院と一般診療の病院にきっちり分けなければならない」。
コロナ感染を警戒して来院患者が激減し、病院の収入が大きく落ち込んでいるからだ。
コロナに特化した病院には支援金を十分に注ぐ。東京オリンピックを中止すれば、資金は確保できる。
コロナ患者を集中的に受け入れるために、妊産婦などに大きなシワ寄せが行った都立広尾病院の二の舞にならないように、行政は一般診療にまで広く目配りする必要がある。
~終わり~
◇
マスコミが放棄した権力監視が、『田中龍作ジャーナル』の役目です。取材費は読者のご支援により賄われています。↓