3つ目の空洞が見つかり、3回目のガス漏れが起きた― NEXCO東(東日本高速道路)が掘り進める東京外環道トンネル部分のルート上で事故が相次ぐ。現場は調布市の閑静な住宅地だ。住民は不安とNEXCOへの不信を募らせる。
調布市東つつじヶ丘では昨年10月18日に住宅の玄関先で市道が陥没した。これを皮切りに11月3日と21日、地下に巨大な空洞が見つかった。
道路陥没と巨大地下空洞の発見後、地下配管からガス漏れ事故があった。昨年12月9日と今年1月5日だ。
陥没と空洞とガス漏れに共通するのは、いずれも東京外環道トンネル工事のルート上ということだ。
工事は地下40数メートルの大深度地下を直径16メートルの巨大なカッターで掘り進む。シールド工法と呼ばれる。自然界に存在しない超巨大モグラが通ることで、地層はグチャグチャに破壊されるのである。
きのう14日は二重の衝撃に見舞われた。地下に巨大空洞が見つかり、配管からのガス漏れ事故があったのだ。もちろん両者とも工事のルート上だ。
空洞は深度16メートルの所にあり、幅4メートル、長さ10メートル、厚さ4メートル。スイミングプールも同然である。
巨大空洞は止まったままになっているシールドマシンのほぼ真上にあたる。
ガス漏れはNEXCOが地下の空洞検査をしている時に発覚した。東京ガスによると配管のつなぎ目からガスが漏れていた。「管の老朽化なのか、NEXCOによる工事の影響なのか。断定はできない」と話す。
「外環被害住民連絡会・調布」事務局によると「NEXCOから事故原因について正式な説明はない」。
ガス漏れのあった3ヶ所はいずれも外環道トンネル工事のルート上だ。シールド工法がもたらす地層のズレと激しい振動と無縁だったとは言い難い。
「外環被害住民連絡会・調布」は、きょう15日付で声明を出した。
「 外環事業の不十分な事前調査、ズサンな施工管理によって、私達の平穏な暮らしは、いつグラグラと足元の地盤が崩れ始めるかもしれないという恐怖と不安の毎日を強いられています。
昨年10月の陥没、11月の2つの空洞、そして本日未明に公表された3つ目の空洞は、全てが施工トラブル箇所周辺のトンネル直上で起きています。最早原因は明らかです。
私達の地域の地盤を元に戻してください。未来永劫の地域の安全と、安心して暮らせる生活を住民各々に約束してください。それが事業者の責務です」(声明ここまで)。
住民の河村晴子さんは「次から次へと危惧が現実のものとなっている」と表情をこわばらせた。
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