やっぱり巨悪は国交省とスーパーゼネコンだった。
大深度地下を超巨大モグラ(シールド)マシンで掘り進んでいた東京外環道建設工事。昨年10月、調布市の住宅街で地面が陥没したり地中に空洞が見つかったりした事故で、事業者のNEXCO東(東日本高速道路株式会社)は、8日から被害住民(※)に対する個別の補償交渉を始めた。
NEXCOは加害者でありながら補償交渉の主導権を握るつもりだ。
きょう10日、地元で被害住民たちが、集会を開いた。住民によるとNEXCOは「団体交渉は受け付けない」という。
そればかりか「(委託した)弁護士や不動産鑑定士が資産価値を査定する」と本末転倒だ。「盗人猛々しい」と言っても差し支えない。
個別交渉だと、本来は『面』で起きている被害が『点』となる。素人は法律にも疎い。NEXCOの思うツボだ。
調布であったこの日の会合には「リニア新幹線・相模原地権者の会」の萩原安雄氏が出席していた。
同会の20数人はJR東海から区分地上権の契約をするよう個別交渉を迫られた。個別交渉というのがミソである。
同会は弁護士を通じて交渉することにした。弁護士がJR東海に対して「私が代理人なのだから個別に交渉するな」と通告した。
以後、JR東海から同会の20数名に交渉の申し入れはない。20数名はリニア沿線予定地5キロにわたって点在していることから、JR東海といえども簡単にシールド工事を進めることはできない。
相模原市のリニア建設予定地では地権者800人のうち6割が個別交渉に応じたという。補償は不十分で、JR東海の都合のいいようにされてしまった。
萩原氏は田中の取材に「JR東海と(NEXCOは)同じ手口、同じ態度」と吐き捨てるように言った。
JR東海とNEXCOの背後にいるのは国交省。東京外環道とリニア建設で潤うのはスーパーゼネコンだ。両者とも地元住民の落とし方を十分に心得ている。
(※)
「外環被害住民連絡会・調布」
~終わり~
◇
『田中龍作ジャーナル』は生活者の目線から巨悪を追及します。取材費は読者のご支援により賄われています。