東京外環道建設の大深度地下工事に伴い、調布市の住宅街で道路が陥没し、地下に空洞ができた事故で、被害の実態とNEXCO東日本の強硬姿勢が明らかになった。
地元住民が、きょう、記者会見を開き明らかにした。外環被害住民連絡会では5日から20日にかけて、工事の影響を受けていると見られる地域の住民を対象にアンケート調査した。
308軒に調査票を出したところ132軒から回答があった。
家屋や塀・門扉などの構造物被害が58軒。騒音・振動・低周波などの体感被害が102軒となっている。
被害の一つひとつがいずれも凄まじいのだが、拙ジャーナルのスペースに限りがあるため、代表的なものだけ紹介する。
「爆音でロックを聞いている感じ。床から一定のリズムで朝から夜8時ごろまで続く。家族皆が苛立ち、ペットの犬は落ち着かず昼寝もできない状態。工事後も船酔いのように体に響き続けている」
「はす向かいのお宅の壁が落ちた。我が家でも庭の縁石と道路の段差が広がっていた。NEXCOは一度見に来たがその後何の連絡もない」
25日、陥没、空洞が見つかった地域の各戸に『家屋補償等に関する相談窓口のご案内』と題するチラシがポスティングされた。差出人は言うまでもなくNEXCO東日本。
相談窓口は1月8日~28日まで4回に分けて開かれる。チラシには「団体交渉には応じない」とある。ここがミソだ。
NEXCO東日本は個別交渉に持ち込み、札束の威力にモノを言わせる作戦だ。地元住民を黙らせ工事を再開するためには、カネに糸目をつけずに補償してくるだろう。
問題となっているシールド工法は、大深度(45メートル)地下を直径16メートルの巨大カッターを回転させながら掘り進む。地層に多大な影響を与えることは、中学生が考えても分かる。
トンネルは、しかも、南向きと北向きの2本を掘る。地下はスカスカになるのである。
NEXCO東日本の背後にいるのは国交省だ。大深度地下工事が頓挫するようなことにでもなれば、JR東海のリニア新幹線の建設工事に大きな影響を与えるのは避けられない。こちらは2021年度初めにも工事開始が予定されている。
シールド工法による実証被害を日本で初めて経験した調布住民が、ズサンな国策事業に立ち向かう。孤立無援にしてはならない。
~終わり~
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