
菅野完氏。著者の加藤陽子・東大教授(日本近現代史)はリストから外された。改憲、特定秘密保護法に反対したためとみられる。=2日夜、官邸前 撮影:田中龍作=
菅政権が学術会議の推薦人名簿から意に沿わぬ学者6人を外した。共謀罪、集団的自衛権、辺野古基地建設に反対するなどした人文科学の学者たちだ。
暴挙に抗議して著述家の菅野完氏が2日午後7時からハンストを始めた。場所は菅首相が主を務める総理官邸の前だ。
菅野氏はハンストに入った動機を次のように語った―
「菅は羈束(=行政の自由裁量が認められない)行為とされていた学術会議の任免権を勝手に裁量行為とした。これは学問の自由や法治など近代の原則を踏みにじる行為だ」
「これに抗議するのはもちろんだが『戦わない学者たち』『戦わない物書きたち』にも腹立ちを覚える」と。

国家の権力中枢前でのハンストだけに警察官たちは気が気でない様子だった。(右が菅野氏)=2日夜、官邸前 撮影:田中龍作=
菅野氏は森友問題の核心を最も良く知る言論人で、籠池夫妻をすぐ近くで見てきた。安倍政権による弾圧の凄まじさをつまびらかに見てきた人物でもある。
菅政権は安倍政権の劣化コピーともいわれる。それだけに今回の人事介入には並々ならぬ危機感を覚えるのだろう。
とはいえ40代半ばの肉体にハンストはこたえる。「いつまで続けるのか?」と聞いた。
菅野氏は「言論人や学者がちゃんと戦い始めるまで座り込み続ける」とけれん味なく話した。
~終わり~