シリア取材を計画していたフリーカメラマンのパスポートを外務省が回収したのは、官邸の意向を踏まえた決定だったことが分かった。
きょう、参議院会館で開かれた「旅券返納問題を考える」緊急集会で、福島瑞穂議員が明らかにした。
福島議員が外務省と警察庁に折衝した結果、判明した。それによると―
外務省がフリーカメラマン杉本祐一氏(新潟市在住)のシリア渡航計画を認識したのは2月5日。前日(4日)の新潟日報の報道を受けてのものだった。
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翌6日午前中、杉田和博官房副長官が外務省に対して官邸に来るように要請。
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夕方、外務省の三好真理領事局長が官邸に出向き、杉田官房副長官に事情を説明。
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外務省は官邸の意向を踏まえ、その場で「旅券返納命令」を決定。
―福島議員の証言ここまで
翌7日、外務省旅券課職員が新潟に出向いて杉本さんにパスポートを返納させた。
マスコミ報道によると、外務省と警察庁が再三に渡って渡航の自粛を要請したが、杉本氏が拒否したため返納を命じたとしている。だが、それは安倍官邸の意向だったのである。
福島議員は「戦争法案(集団的自衛権行使のための関連法案)が通った後、フリーランスが(現地に)行くのが難しくなる。何が起きているのか、大本営発表以外に(国民は)知ることができなくなる」と警鐘を鳴らす。
集会には新聞労連の新崎盛吾委員長も出席した。共同通信の記者だった新崎委員長はイラク戦争(2003年)で大手マスコミが撤退した後、フリーランスの情報を頼りにしていたという内幕を明かしながら次のように話した―
「安倍政権は秘密保護法を運用していくなかで “報道の自由を侵害しない” と言いつつも、法律の恣意的な解釈によって “自由を侵害できるんだ” ということを見せつけた」。
パスポートを取り上げられた杉本さんは「戦争が起きるとこうなるということを伝えたかった…(中略)ネオナチ政治の始まりだ」と表情を硬くした。