「FREE KENJI」 同調圧力の中、静かな訴え

参加者たちはヨルダン空軍パイロットの解放も求めた。=30日夜、首相官邸前 写真:山本宏樹=

参加者たちはヨルダン空軍パイロットの解放も求めた。=30日夜、首相官邸前 写真:山本宏樹=

 イスラム国が後藤健二さん解放の条件として突き付ける女性死刑囚が、今なおヨルダンにいることが明らかになった。予断を許さない厳しい膠着状態が続く。

 後藤さんの無事を祈る人々が今夜、キャンドルを手に首相官邸前に集まり、静かな抗議の意思を表した。それは静かな抗議集会だった。

 「政府は懸命に人質解放交渉に取り組んでいるのだから、安倍政権批判は慎むべきだ」・・・本末転倒の自粛ムードが共産党にまで蔓延している。ネット世論も同様だ。

 今回の事件を呼び込んだのは安倍首相の中東歴訪中の不用意な発言であることは、言を待たない。にもかかわらず記者クラブメディアは安倍首相の姿勢を批判しない。

 政界、ネット世論、マスコミの主導する自粛ムードが、同調圧力となって国民にのしかかっている。

 ヨルダンでは人質となっている空軍パイロットの解放を求めて、パイロットの出身部族が集会を開き激しく政府を突き上げた。パイロットの父親も記者会見を開き政府を批判した。

 同じように人質を取られている国でありながらあまりに対極的だ。日本は本当に先進国なのだろうか?

寒風の中、後藤さんの解放を願う人々が集まった。「何としてでも生きて帰ってほしい」。=写真:山本宏樹=

寒風の中、後藤さんの解放を願う人々が集まった。「何としてでも生きて帰ってほしい」。=写真:山本宏樹=

 50代の女性(会社員)は「こういう事(人質事件など)があると、(バッシングや自粛論が)必ず出るが、日本人として恥ずかしい。野党は何をやっているんだという感じ」と憤った。

 40代の女性(ケアマネージャー)は「ヨルダンの国王は家族に会ったが、日本は対応がおかしい。自分の回りには被害者家族を悪く言う人はいない。表に出て助けてくださいと言う。静かにしてろと言うのは、言論の自由を奪うことだ」と涙ぐみながら語った。

 集会の呼びかけ人の一人でフォトジャーナリストの豊田直巳さんがマイクを握った―

 「後藤さんはカメラを持っていたが、武器は持っていなかった。それが後藤さんの命を助けているのではないだろうか…(中略)問題は武力では解決しないことを示している」

 紛争地域取材の経験豊富な豊田氏は、今回の事件を奇貨として日本を「戦争ができる国」にしようとしている安倍首相を批判した。

 本末転倒の自粛ムードは安倍首相が進める軍国主義化に手を貸すものであることは言うまでもない。

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