沖縄県民の怒りは収まらない。米軍が銃剣とブルドーザーにより力づくで作るのが基地だった。ところが自分たちが選挙で選んだ知事が「どうぞ辺野古に基地を作って下さい」と差し出したのだ。
きのう県庁ロビーになだれ込んだ県民たちは、きょうも県庁前で集会を開いた。(主催:平和センター、平和市民連絡会、ヘリ基地反対協、県議会4会派=社民護憲、県民、共産、社大)
主催者発表で約700人が参加した。「知事の裏切りに怒り」のプラカードが目につく。2010年の県知事選挙で「普天間基地の県外移設」を掲げて再選された仲井真弘多知事が「辺野古埋め立て」を承認するのは、立派な公約違反である。
集会の司会進行を務める女性は「きのうの記者会見が夢であってほしいと願いながら目覚めた。知事が基地負担を県民に強いることを許さない。県民への裏切りです」と怒りを露わにした。
「裏切りどころではない。怒りという言葉では言い表せない」と体を震わせるようにして話すのは うるま市から来た女性(60代)だ。
「きのうの記者会見は知事が誰かにメモを渡されて読んでいただけ。あれが許されていいはずがない」。彼女は泣きそうな表情で続けた。知事本人や沖縄県庁職員が書いた文章であれば、あれほどまでに ただたどしい 朗読にはならないはずだ。
「こんな知事を選んでしまったことが悲しい」。参加者たちは異口同音に語った。
ジュゴンやアカウミガメが生息する辺野古の海を埋め立てることへの憤りも聞かれた。「安保や基地問題よりも海を埋め立てることが納得できない。元には戻らないのだから」。沖縄市在住の男性(30代)は淡々と話す。
インタビューした参加者のほぼ全員が「仲井真知事と安倍首相の約束は果たされない」と答えた。沖縄がだまされ割を食うという意味だ。
安倍首相は「早期の普天間基地閉鎖」を提示した。沖縄県側は5年以内の閉鎖を求めている。普天間基地の返還が日米間で約束されて17年が過ぎた。この間、1ミリも動かなかった。
辺野古基地建設は早ければ来年3月にも測量が始まるとの見方もある。だが来年1月19日投開票の名護市長選挙が待ち受ける。
「埋め立て反対派」が勝利すれば、また普天間は動かなくなる。賛成派が勝って工事を進めようとすれば流血の惨事は避けられない。県外移設に絞り込まない限り、堂々巡りの消耗戦が続く。