TPP問題のすそ野の広さをあらためて見せつけられた。「TPP参加をとめる院内対話集会」がきょう国会内で開かれ、各界各層の人々が参加した。(主催:STOP TPP!! 市民アクション)
国会議員はもとより主婦、医師、労働組合、市民運動家、一住民…ありとあらゆる人たちが国会まで足を運んだ。アクションへの賛同団体は222団体にものぼる。
昨年末まで国会議員を超党派で束ねていた「TPPを慎重に考える会」の篠原孝会長(民主党衆院議員)が口火を切った。篠原議員は前会長の山田正彦元農水相が落選したため後任となった。
「TPPは日米安保条約よりもスケールが大きい条約。日本のルールをすっからかんにして世界共通のルールを作ろうとしている…(中略)米金融資本は日本の企業を買収した時、自由な経営がしたい。(その御膳立てとして)産業競争力会議が労働者の首を斬りやすいように規制緩和をしようとしている…」
全国労働組合総連合(全労連)の小田川義和事務局長は危機感を募らせる―
「TPPは米国の働き方を押し付けてくる危険性がある。アベノミクスの成長戦略と関わって雇用の規制緩和が議論されていて、TPPと同じ方向を向いている。日本の労働市場は国際競争力強化の名の下で進められてきた非正規への転換で、雇用、労働条件が劣化し、労働者が貧困化している。壊れた雇用の改善に手をつけないまま次の嵐の中に突っ込もうとしている。TPPに断固反対してゆく」。
集会では雇用だけではなく、あらゆる分野の問題が指摘された。主婦の代表は「TPPで食の安全性が脅かされる」と訴え、法曹界の代表は「ISD条項は国家の主権を侵害する」と指摘した。
【郵政改革と似た状況に】
TPPに異を唱え、「断固反対」で選挙に勝った与党議員も首相の方針に従うようになった。集会の主催者は自民党にも出席を呼びかけたが、体よく断られたという。
記者クラブメディアはこぞって「TPPで産業の活性化を」と囃し立てる。小泉政権時の郵政民営化とよく似た状況だ。郵政民営化は規制緩和の象徴だったが、行き過ぎた規制緩和で庶民の生活はガタガタになった。
「TPPを考える国民会議」の原中勝征・代表世話人は小泉政権時の規制緩和を振り返り、お先棒を担いだマスコミを批判する―
「国の危機であるとの認識がない。規制緩和で非正規を増やして(若者の多くが)結婚もできないような社会にしてしまった。(小泉政権の世論操作に手を貸した)マスコミは責任を取ろうとしない」。
マスコミはTPPを農業と貿易の問題にすり替えようと懸命だ。JAの集会であれば、テレビクルーやスチールカメラマンで賑わうが、きょうはテレビ局のカメラは1台も見かけなかった。