さすが“原子力推進委員会”と揶揄される組織だ。秘密がお好きらしい。国民の前に姿を表そうとしない「原子力規制委員会」の準備室が入る内閣府庁舎の前で27日、市民団体や環境団体が抗議集会を開いた。
違法性さえ指摘される「原子力規制委員会」の人事案は、今週中にも国会で採決される可能性が高い。危機感を強める環境団体などが「準備室」に公の場での対話を2度に渡って求めたが、いずれも断られた。
一度目はドタキャン、二度目は「いくら日程を変えても、市民の要請にいちいち応じることはできない」という理由だった。
悪名高き原子力安全・保安院でさえ対話には応じていた。環境団体や原発の地元住民が呼びかけた対政府交渉には、ほとんど出席していた。福島の事故以降、数十回に及ぶだろう。
だが、原子力規制委員会は公の場での市民との対話を拒否しているのである。
委員長候補が、推進派の砦である原子力委員会の秘密会合に「3・11」以降も出席していた田中俊一氏だからだろうか?
原子力安全・保安院や原子力安全委員会などに代わって一元的に原子力の規制行政を担う組織は、透明でなければならないはずだ。
業を煮やした市民団体や環境団体が27日、押し掛ける形で圧力をかけたところ、内閣府庁舎前の歩道に「原子力規制委員会準備室」の役人2人が顔を出した。一人はヤマモト、もう一人はコヌマと名乗った。
2人を前に郡山市在住の森園和恵さんは「この人事を堂々と言えるか?恥ずかしくないと誰に向かっても言えるか?」と詰め寄った。役人は顔色ひとつ変えない。「表情が全くないことが私には不気味でなりません」。森園さんは語気を強めた。そして人事案の差し替えを求める4万890筆の署名を手渡した。
国際環境団体FoEの満田夏花さんは、「田中俊一氏らの人事案は原子力規制委員会設置法や政府ルールが定める欠格条項に当てはまりませんか?」と役人を追及した。
役人は「細野大臣が国会で答えられた通りです」と判で押したように答えた。この後、何を聞かれても「国会答弁を見て頂ければ分かります」を繰り返した。
公の場には出て来ず、当たり障りのない官僚答弁に終始する。原発行政は、またもや秘密のベールに閉ざされそうだ。
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