原発割合をめぐり国民の意見を聞くと称して今夏政府が行った「意見聴取会」「パブリックコメント」「討論型世論調査」の分析を、政府が三菱総研に丸投げしていたことが分かった。
超党派の国会議員で作る「原発ゼロの会」が28日、国会内で開いた「国民的議論に関する検証会合」で明らかになった。
「意見聴取会(会場でのアンケート調査)」「パブリックコメント」「討論型世論調査」は、いずれも原発ゼロシナリオが1位を占めた。
ところが調査結果資料には有識者からの指摘として次のような指摘がなされている(有識者とは誰なのかも判然としない)――
【意見聴取会】・・・時間があり、関心が高い方がこられるということで、国民の意見の縮図とは異なる。
【パブリックコメント】・・・強い意見を持った人ほど、コメントを出すモチベーションをもっていると思われるので、分布が、ある一方に偏る可能性が高い。
【討論型世論調査】・・・明らかに時間とエネルギーのある関心の高い方が討論に参加するため、国民の縮図は歪むということがある一方、議論の理屈がよく展開される。
総研分析をそのままコメントする野田首相
ゼロシナリオを支持する人が最も多かった調査は、偏っていると決めつける指摘である。驚いたことに27日、NHKのクローズアップ現代に出演した野田首相は、上記(「時間があり、関心が高い方がこられるということで、国民の意見の縮図とは異なる」)をそのままコメントしたのである。噴飯ものとしか言いようがない。
一方で調査結果資料はマスコミ等の世論調査については「日本全体の縮図になっているはずである」と称賛する。原発ゼロ支持割合が「パブコメ」などと比べると格段に低いからである。マスコミの世論調査方法が在宅の固定電話に掛けた人からの回答によるなど、現代の実情に合っていないことが指摘されて久しい。こうした事には目をつぶっているようだ。
ゼロシナリオを求める世論が圧倒的であることから、野田政権と原子力ムラは、パブコメなどの世論調査結果を過小評価する必要があった。それを受けて三菱総研が「有識者の指摘」として否定的なコメントをつけたようだ。
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