「子供にも原発を持つか止めるか決める権利を下さい」

ノリが売りのパレード。カラオケを歌いながら「脱原発」を訴えた。=6日、東高円寺。写真:筆者撮影=

ノリが売りのパレード。カラオケを歌いながら「脱原発」を訴えた。=6日、東高円寺。写真:筆者撮影=


 きょうは日本全国で原発の電気を1ワットたりとも使わない、第1日目となった。すべての原発が停止したのは42年ぶりだから、41歳以下の人は初めての体験となる。

 原発にどっぷり浸かっていた市民生活からオサラバしようと、草の根の運動が続いてきた東京・高円寺では、「祝賀パレード」が行われた。集合場所の蚕糸の森公園には、地元杉並区はじめ首都圏一円から市民1千人余りが訪れた。

 高円寺で市民レベルの脱原発運動をリードしてきた松本哉(リサイクルショップ経営・37歳)さんは、紋付はかま姿で登場した。「去年の今頃、デモを企画した時には人が集まるのか、心細かった。だがメチャクチャに人が来てとんでもないことになった…」。大規模市民デモを根付かせた男は、晴れがましい顔で挨拶した。

 作家の雨宮処凛さんはウェディングドレスだ。「原発を停めたのは、ここにいるみんなの力だ」。雨宮さんは勝どきでもあげるかのように威勢良く語った。

 原発事故による最大の犠牲者は子供だと言われる。都内の中学校2年生の中村瑠南さんは、事故が起きた時、小学校6年生だった。中村さんのアピールは、聴衆の心に迫るものがあった――

 「……(前略)大人の皆さんにお願いがあります。私たち子供に原発について本当のことを知る機会と、原発を持つか止めるかを決める権利を下さい。原発は私たちの将来と命に大きく関わる問題です。私たちにも原発について知ったり決めたりする権利があるはずです」。

スピーチする中村瑠南さん。子供の立場から原発は懲り懲りと訴えた。=蚕糸の森公園。写真:筆者撮影=

スピーチする中村瑠南さん。子供の立場から原発は懲り懲りと訴えた。=蚕糸の森公園。写真:筆者撮影=


「原発がなかったら電気はどうするんだ?」。原子力村とその手先であるマスコミの常套句だ。

 だが、デモ参加者の中には自然エネルギーを生活に取り込んでいる人もいた。西東京市在住の男性(自営業・30代)が手にするトラメガは、10アンペアの発電能力を持つソーラーパネルの電力で充電したものだ。ソーラーパネルはベランダに設置しており、携帯電話などの充電にも使っているという。

 「電力不足」の脅しに怯まずに済むような自衛策も、これから必要になってくる。「原発が停まった」と手放しで喜んでいたら、電力会社と野田政権の巻き返しに遭う。

 《文・諏訪 京/田中龍作》

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