発電に占める原発依存度について検討する経産省の『総合資源エネルギー調査会基本問題委員会』の評判がよくない。原発依存度を引き上げるためとしか取れないような審議の進め方に批判が噴出している。
超党派の国会議員から成る『原発ゼロの会』が8日、牧野聖修・経産副大臣に同委員会の運営の改善を求めると共に『国会エネ調』の設置を要求した。
『総合資源エネルギー調査会基本問題委員会』の性格は、委員25人のうち大半が原発推進派で固められていることに表れている。委員長はさらにコテコテの推進派だ。原子力村と濃い縁戚関係にあたる新日鉄会長の三村明夫氏である。
三村氏の議事進行がまたエグイ。「原発依存度を0%に」とする委員が8人いてもあしらう一方で、たった1人の委員が主張する「依存度35%」を重要視するのである。
御膳立ても原発推進派にとって完璧だ。事務局、開催場所ともに経産省なのである。事務局制作のレジュメは、2030年段階での原発依存度の選択肢を「0%」「20%」「25%」「35%」としている。
これがインチキなのだ。「0%」以外は、原子炉を60年稼働させるか、新設する選択しかないのである。野田政権が掲げる「脱原発依存」に逆行するのだが、政府内不一致ではないだろうか。民主党政権が官僚の掌の上で転がされていると言えば、それまでだが。
『原発ゼロの会』の加藤修一議員(公明党)によれば、上記の件について通産省に「説明に来るように」と求めたが、「そういう会には行けない」と断られたという。
阿部知子議員(社民党)は「ご自身たちは密室ではないと思っているんでしょうけど、(委員会は)見えない、内容が伝わりにくい、分かりづらい」と憤慨する。
経産官僚と原発関連企業が原子力行政を密室で進めてきた結果起きたのが、福島の事故だった。またぞろ同じことが繰り返されているのだ。惨劇が再び起きてもまったく不思議ではない。
牧野経産副大臣は「誠意を持って対応します、枝野大臣にはしっかり伝えます」と答えたという。
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