きょうで9回目となった「脱原発ツイッターデモ」。集合場所の渋谷・宮下公園には「環境団体」「市民団体」「民族派右翼」などのノボリがはためいた。組織による動員ではない。団体といっても2~3名だ。ツイッターで呼びかけ合った個人参加者たちで宮下公園は膨れ上がった。祭りの賑わいを思わせる。
「回を追うごとに沿道の反応が強く大きくなっている。飛び入りが増え、拍手も送られるようになった」。呼びかけ人の平野太一さん(会社員・26歳=杉並区)は手応えの良さに自信を示す。
原子力安全委員会(班目春樹委員長)が23日、大飯原発のストレステスト一次評価を妥当とする判断を示したことを受けて、野田政権は今週中にも再稼働にゴーサインを出すものと見られている。
こうした情勢もあって会場は緊迫した雰囲気が漂った。「再稼働反対」のプラカードが目につく。デモ出発前から打ち鳴らされるパーカッションの音がせわしない。参加者は少し苛立っているように感じられた。
神奈川県から足を運んだ女性(50代・会社員)は「再稼働は絶対困る。福島の事故以降、何ら新しい対策が立てられていないのに再稼働はおかしい」と憤る。
「まず地元の声を聞いてからなのに、野田さんのやり方は政府が先に決めてから地元に言うことを聞かせる。これでは政府によるテロだ」。練馬区の男性(元会社員・61歳)は言葉を極めて怒りを表した。
参加者を苛立たせているもうひとつの要因に「全国規模での瓦礫の受け入れ」がある。足立区から駆け付けた母親は、2人の子供を放射能汚染から守るために4月から熊本県に転居する。だが熊本県とて「瓦礫を受け入れない」という保証はない。国の圧力は強まる一方だ。
母親は「そうなると何のための避難なのか。怒りにブチ切れそうになる」と目尻を吊り上げた。
再稼働のみならず被曝を全国に拡大しようとする野田政権に反発を抱くのは、デモ参加者だけでなかったようだ。
「再稼働反対」。デモ隊はシュプレヒコールをあげながら公園通り、井の頭通りなどを4列縦隊で行進した。沿道から次から次へと飛び入りがデモの隊列に加わり、スタート時の倍となる1千人(主催者発表)にまで増えた。為政者はこれをどう捉えるのだろうか。
◇
『田中龍作ジャーナル』は読者の支援金によって維持されています。