「……(ストレステストの)一次評価により緊急安全対策等の一定の効果が示されたことは一つの重要なステップと考える……」。
きょう午後1時から開かれた原子力安全委員会で、班目春樹委員長が大飯原発3・4号機についてのストレステストの一次評価を『妥当』であると結論付けた。開会からわずか5分である。
同評価は原発再稼働の条件となっていた。野田政権は3月中にゴーサインを出すものと見られているが、大前提は整ったことになる。
傍聴席は騒然となった。「福島の事故を何だと思ってるんだ」「プライドはあるのか」「世界の恥だ」…激しい怒号が飛び交う。2人の脱原発運動家がバリケードを飛び越えて班目委員長に詰め寄ろうとしたが、委員長はいち早く扉の向こうに消えた。
原子力安全・保安院が関西電力の提出した一次評価を妥当と認めてわずか45日後に、今度は原子力安全委員がお墨つきを与えたのである。
筆者はこの間、保安院と安全委員会で集中的に開かれたストレステストをめぐる会議を取材してきた。分かったのは――保安院が電力会社の言うことを追認し、安全委員会が保安院の見解を妥当とする、ということだ。畢竟、日本の原子力安全行政は電力会社の言いなりなのである。
新しい安全基準も定まらないまま、なし崩し的に再稼働を認めれば原発事故はまた起きる。
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