市民による組織に頼らない脱原発パレードがきょう、三鷹市で行われた。主催は「三鷹アクション」となっているが、誰が実行委員会に参加しても構わない。
実行委員の一人の女性は、8歳の子供の手を引いて参加した。3月に原発事故が起きてすぐ、夫の実家がある九州に避難し、昨年4月までいた。
「毎日不安だったが、怖がってばかりで何もしないという選択肢はもうない。子供には、食べ物・水に気を遣う。(食材は)実家から送ってもらう。放射能検査をして安全性を確認している生協からも取り寄せている。学校給食でも放射能検査をやってほしい」と話す。
三鷹市在住の50代の保育士は「幼い頃からすでに原発のある社会で育った。大人になってからも不勉強だったが、福島の事故があってから、黙っているわけにはいかないと思うようになった。これからは自分のことだけでなく、反対行動も起こしていかなくてはと思う」。
三鷹市在住の60代の主婦は、事故の前から原発に反対だったという。三鷹市でのデモは2回目の参加だ。
「35歳になる息子がいるが、乳児の時『ベビーフード事件』というのがあった。ベビーフード会社がコバルト60を照射していたのだが、それを知らずに息子に食べさせてしまった。当時はベビーフードなど食べさせる母親は手抜きだと言われ、こちらが被害者なのに世間から冷たい目で見られた。事件が明るみに出て初めて企業は謝罪する。あの頃から国も企業も信じていない。」
主婦はペットボトルをつなぎ合わせた鳴り物持参だ。地元密着パレードらしく、子連れやお年寄りの姿が目立った。
パレードのクライマックスは、『ジブリの森美術館』前通過だ。宮崎駿監督は「安全な電気で映画を作りたい」とするメッセージを出した脱原発派である。
「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」などジブリ作品は自然との共生を謳いあげる。とりわけ「風の谷のナウシカ」は住民が放射性物質(らしき物)に苛まれる。原発らしき物も登場する。脱原発への思いが込められた映画だ。
「原発要らない…」、ジブリの森前にさしかかると参加者たちは一際大きなシュプレヒコールをあげた。
パレードがスタートした頃、参加者は100人ほどだったが、次から次へと飛び入りが加わり、200人余りにまで膨れ上がった。
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