「ここに来れば福島の人に会える」 自主避難者の専用事務所オープン

オープンした自主避難者の専用事務所。子供の絵本や積み木も揃った。=品川区。写真:筆者撮影=

オープンした自主避難者の専用事務所。子供の絵本や積み木も揃った。=品川区。写真:筆者撮影=


 被曝を避けるために福島から関東一円に自主避難している人たちの専用事務所がきょう都内にオープンした。自主避難者たちは孤独に陥らないように、これまでひと月に一度、青山の施設を借りて顔を合わせていたが、品川区のマンションオーナーが厚意で提供した。(品川区戸越5‐14‐17ドゥエル藤博202)

 「ここに来れば福島の人に会える。それだけでホッとし安心する。煮詰まったりした時はここに来て話すだけでストレスがなくなる。やっぱり繋がらないと生きてゆけない」。郡山から子供と共に都内に自主避難してきた母親は素直に喜ぶ。

 須賀川市から都内に移り住んだ男性(30代)は福島の会社を辞めたが、まだ仕事は見つかっていない。妻と子供を先に避難させた。「同居していた両親には妻子を逃がすことを反対されていたので、毎日のように説得を続けた。会社を辞めるのも大変だった。安全か安全でないのか、分からないのであれば安全な方を取ろうと決断した。二人目の子供を作るのに不安がある」。男性は苦渋をにじませながら語った。

 自主避難者の9割が母子避難で、「家族揃って」は1割しかいない。しかも避難できる人とできない人との間でミゾができているようだ。

 「行政の命令も指示もないのに放射能への不安から逃れてきた。自主避難者には罪悪感がある。『福島の児童にガンの疑い』とか報道されると、隣人を捨てて逃げてきたことにますます罪悪感を覚える。かと言って私が子供全員を預かれるわけではないし…」。郡山市から6歳の子供を連れて都内に避難してきた母親(30代)は辛そうに明かした。

 「罪悪感のない自主避難者なんていない」。別の母親が相槌でも打つようにつぶやいた。

 事務所には福島の写真や原発事故に関する雑誌、新聞のコピーも数多く掲示されている。「最近どうだい?」、地元の言葉をまじえながら、自主避難者たちは故郷を離れざるを得なかった無念を語り合っていた。

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近況報告に続いて質疑応答があった。=写真:筆者撮影=

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