国民は決して泣き寝入ってはいなかった。福島第一原発の事故をめぐり、東電の株主たちが経営陣(現・前・元)を相手取り、総額5兆5045億円の損害賠償を求める株主代表訴訟をきょう午後、東京地裁に起こす。訴えられる経営陣は勝俣恒久会長、清水正孝前社長ら43人。請求金額は日本の裁判史上最高額となる。
原告代理人の河合弘之弁護士は「地震・津波対策の不備が訴えの最大の柱となる」と話した。(以下昨年11月、訴訟請求の記者会見より)――
「08年に福島第一原発には最大で15・7mの津波が来るという試算が東電の社内にあった。その試算がきちっと上がっていながら、(当時の経営陣は)それを無視した」、河合弁護士は続けた。
東電幹部は記者会見でことあるごとに「想定外の津波により」としてきた。原子力損害賠償法・第3条に基づき「異常に巨大な天災地変」は免責されることを狙ったものだった。だが、東電は大津波が襲来した場合の規模を予想していたのである。
経営陣(当時)の目論見は脆くも崩れた。だが、裁判所が東電経営陣の過失を認めるだろうか。最高裁まで行くのは確実だ。長い長い裁判となるだろう。
「(経営陣)は責任を取ろうとせずに消費者の金(電気料金値上げ)や国民の金(増税)で乗り切ろうとしている。こんな矛盾した会社はない」。『東京電力株主の会』の堀江鉄雄さんは義憤を込めながら、いみじくも指摘した。
東電・福島第一原発事故をめぐって勝俣会長や清水前社長らは、業務上過失傷害などの罪で刑事告発されている。
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