原発推進勢力がなりふり構わず再稼働させたがっている九電・川内原発。原子力市民委員会はきょう、都内で「川内原発・再稼働の無期凍結」を求める記者会見を開いた。
原子力規制委員会が川内原発について再稼働の「合格証書」にあたる「審査書案」をきょう、出すはずだったからだ。
だが自公候補の苦戦が伝えられる滋賀県知事選挙の投開票が10日に行われることから、影響を考慮して一週間ずらした。
原発の設計技師や環境問題の専門家などからなる「原子力規制委員会」は、科学的知見にもとづき川内原発の再稼働がデタラメで危険極まりないことを証明した。
新規制基準の適合審査では「冷却水を失う配管破断と全交流電源喪失が同時に起こった場合の対策」が要求されている。
だが九電の回答は「炉心溶融と原子炉容器の破損は防げない」というものだった。明らかな開き直りである。
九州電力は原発の耐震強度にかかわる基準地震動についても過小申告していたことが明らかになっている。
そのうえ地震と密接に関わる配管破断が起きた場合の対策も満足に講じていないのだ。もともと安全に対するモラルの低い組織が、世界有数の危険物を扱っていることになる。
避難対策も背筋が寒くなるほどいい加減だ。川内原発が立地する薩摩川内市の住民の避難先は鹿児島市、指宿市などになっているが、風下なのだ。放射性物質の拡散シミュレーションを踏まえていれば、風下に避難させるなどということはありえない。
放射能を逃れて来たはずの人々が放射能を浴びるのだ。飯館村の悲劇が繰り返されるのである。
極め付けは火山噴火を考慮に入れていないに等しいことだ。桜島を含む姶良カルデラが噴火すれば、溶岩が川内原発にまで達することが研究で明らかになっている。
そうなれば全電源喪失は免れない。火災による原子炉建屋の倒壊もある。
使用済みの物も含めた核燃料が“被災”するのだ。福島第一原発4号機が示すように取出しは1年以上もかかる。噴火予知はせいぜい数か月前だ。
姶良カルデラが噴火すれば、膨大な量の核燃料が被災することになる。日本国内どころか、近隣諸国が高濃度放射線汚染されることを想定に入れなければならない。
想像を絶する地獄絵巻が広がることになるだろう。
川内原発の再稼働に向けた手続きから浮かび上がったことは、原子炉の安全規制は事実上、強化されておらず、避難計画もズサンこのうえないということだ。
「福島の教訓云々」は空念仏なのである。