中間貯蔵施設の建設をめぐり「最後は金目でしょ」と思わず本音を漏らし、世論のバッシングを浴びた石原伸晃環境相。
福島県知事や一部の市町村長への謝罪で幕引きを図ったつもりだったが、そうは問屋が卸さなかった。
「原発いらない福島の女たち」がきょう、環境省を訪れ、石原環境相の辞任を要請した。「金目発言」だけではない。でたらめな被災者支援政策の改善も要請した。
「子ども被災者支援法」が有名無実であるうえに、政府は被災者を帰還させようとしている。
さらには除染の目標値を下げようというのだから、呆れるばかりだ。福島の人々の怒りは察して余りある。
午後1時30分ごろ、約50人が環境省に貸切りバスで乗り付けた。約10人はタイベック姿だ。白装束が大事な故郷を奪われたことへの恨みを物語っていた。
20数人が環境省の入る政府庁舎の門をくぐったが、通されたのは1階の面会室だ。入館ゲートの手前にあり正式な面会記録には残らない。客人として認めたくないのだろうか。
環境省は総合環境政策局・放射線健康管理担当参事官室の鈴木研一参事官補佐ら4人が対応した。
福島市の佐々木慶子さんが口火を切った。「環境省の皆さんが血の通った人間かどうか、きょうは確かめに来た。福島をばかにするなという思いだ」。
鈴木参事官補佐は「貴重なご意見をうかがいます」と答えるに留まった。これがきょうの環境省のスタンスだった。浅はかな大臣の問題発言をいちいち官僚が対応するわけにはいかない、ということか。
原発から1・2キロの地区に住んでいた双葉町の女性は「石原大臣に言って下さい。お金は1円も要りませんから、きれいな福島を返して下さい」と迫った。
「石原大臣が被害者に会えない理由はあるんですか?」(福島市の女性)。
「石原大臣は子供と奥さんと一緒に福島に住めますか?」(郡山市の女性)。参加者からは石原環境相への不信感が噴出した。
「原発いらない福島の女たち」は期限を区切って回答を求めたが、環境省側は「約束はできませんが、持ち帰ります」とかわした。
タイベック姿で環境省に乗り込んだ女性(田村市)の言葉が本質を突いていた。「除染してカネを儲け、今度は焼却して儲け、ということですか?」
彼女は環境省の建物を退出すると「政府は(我々の)命のことなど何も考えていないということが分かった」と話した。
馬鹿な大臣がいて、天下りしか考えていない官僚がいて、復興ビジネスに狂奔するゼネコンがいる。被災者は置き去りにされたままだ。