安倍政権発足を機に産声をあげた「国防軍反対デモ」がきょうで1周年になる。タカ派的体質の安倍首相のことだから、ある程度右寄りに政策転換することは予想されていた。
だが衆参両院で与党が過半数を制したこともあり、安倍政権は予想を上回るスピードで右傾化している。右傾化というより軍国主義化といった方が適切だろうか。
国家安全保障戦略に「愛国心」を盛り込むことを決め、武器輸出三原則を見直すことも明記する。増額させた防衛費で米海兵隊まがいの揚陸強襲艇を購入するというから驚く。国土を防衛するのに、どこに強襲をかけるのだろうか?
「本当にやる気なんだな、という危険性が分かった。いきなり国防軍とは言えなくても、国防軍を持てる国作りをしている。それが国民の怒りを買っている」。デモ呼びかけ人の田川豊さん(団体職員・40代)は、厳しい表情で語る。
平成の治安維持法と言われる「特定秘密保護法」が6日、参院で強行採決により成立した。きょうの「国防軍反対デモ」は同法の危険性を中心にアピールした。「都合の悪いことを秘密にするな」「TPP秘密にするな」…買い物客などで賑わう週末の新宿にシュプレヒコールがあがった。
「彼ら(安倍政権)を思い上がらせたくない」。国会議事堂前で声をからして秘密保護法に反対した大学1年生(女性・都内)は、強い口調で訴えた。
「国民がどんどん声をあげていかなくてはならない」と話すのは『戦争好き、国民敵視の安倍内閣はいらない!』と書いたプラカードを持つ女性(都内・60代)だ―
「凄く極端な考えを持つ人たちが数にまかせて何故こんなに力を持つのか。腹立たしくてならない」。彼女は明らかに憤っていた。
北海道から駆け付けた女性(30代)は「(危険な法律が)どんどん可決されて危機感がある。廃案(廃止)を目指して、きょう、ここに来た」。
「民主主義が終わりかかっている。国会前で抗議していたが、安倍政権がどんどん暴走していった」と語るのは都内在住の女性(30代・会社員)だ。
治安維持法の時代を経験した年配者が「気が付いた時はもう遅い」と話すのをよく聞く。安倍政権が本気なように、国民も本気で右傾化に立ち向かう時機が来たようだ。