
イスラエル軍はウエストバンク北部に向かう幹線道路のゲートを閉じていた。=20日、ナブルス付近 撮影:田中龍作=
イスラエル軍がパレスチナ人を虐殺したい時、そのエリアを囲い込み、外界の目に晒さないようにして軍事作戦を展開する。ガザが格好の例だ。
イスラエル軍はウエストバンク北部に向かう幹線道路のゲートを写真上段のように閉ざしていた。北部とは武装勢力が活動拠点を置くジェニンとナブルスのことだ。イスラエルにとりウエストバンクで最も目障りな地域である。
閉ざされたゲートを前に取材車のドライバーは「あと5分で、ナブルスに着くのに」と地団太を踏んで悔しがった。取材車は迂回した。迂回すれば入れるほどイスラエル軍はお人よしではない。
5分も走らないうちにイ軍の通せんぼが待っていた。道路に土とセメントを盛り、車が通れないようにしているのだ。
そこを避けて迂回すると今度は鉄製のゲートが待っていた。

イスラエル軍の空爆に遭ったファタハ司令部。=20日、ナブルス 撮影:田中龍作=
ベテラン・ドライバーは獣道のような山道を縫うようにして走り、とうとうナブルスに出た。ナブルス最大のバラタ難民キャンプ(人口4万3千人)に着くと田中の悪い予感は的中した。
何の変哲もない鉄筋コンクリート2階建てのビルは、空爆に遭って屋根の床に大きな穴があき、室内は修復不可能なまでに粉砕されていた。
ここはファタハの司令部だったという。戦闘員5人が殺害された。18日夜のことだ。ファタハはパレスチナ解放機構(PLO)のアラファト議長が率いていた老舗の武装組織である。

ファタハ司令部のあったビルの外観。空爆で壁が抜け屋内も修復不可能なまでに破壊された。=20日、ナブルス 撮影:田中龍作=
翌19日にはイスラエル軍の陸上部隊が大挙して侵攻してきた。部隊はファタハの戦闘員が暮らしていたとされる家屋75軒を家宅捜索した。武器弾薬を見つけ出したかったのだ。捜索が終了すると手榴弾を投げ入れ家屋を焼いた。
侵攻前に逃れた家族もいたが、家宅捜索時に家にいた家族はイスラエル軍に連行された。
更地になっている所は一週間前に家屋が破壊された。ファタハ戦闘員の家だったとの疑いだ。家人たちはイスラエル軍に連行された。
イスラエル建国にまつわる負の遺産であるパレスチナ難民を根絶やしにしたい・・・民族浄化の思惑がモロに見える。「ハマスとの戦争」は格好のカムフラージュである。
イスラエル軍は難民キャンプのモニュメントにもロケットランチャーを撃ち込んでいた。難民キャンプをなかったことにしたいのだろうか。

難民キャンプのモニュメントはロケットランチャーを撃ち込まれ黒焦げになっていた。面影を想像するのがやっとだった。=20日、ナブルス 撮影:田中龍作=
~終わり~
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二重の借金に怯えながら田中はパレスチナの地に戻ってきました。
イスラエルはガザのみならず西岸のパレスチナ住民も根こそぎ追い出してしまいたい。民族浄化の思惑が透けて見えます。
人類史に刻まれるような大災厄が起きないことを願うのみですが、不幸にして起きてしまった時は、ジャーナリストとして見届け伝えなければなりません。
何とぞご理解とご支援を賜りますよう、伏してお願い申し上げるしだいです。